F1公式タイヤサプライヤーであるピレリのマリオ・イゾラ(レース責任者)が、F1チームは以前のように各レースで供給されるタイヤセットをドライバーが自由に選択できるというシステムを継続したいとは考えていないと語った。
現在のF1では、レースごとにドライバー1人あたり13セットのタイヤが供給されることになっている。そのうち、決勝で使用が義務づけられる2セットと、予選Q3で使用義務があるソフト1セットを除く10セットのタイヤに関しては、ドライバーがソフト、ミディアム、ハードのコンパウンドの中から自由にそのグランプリで使用したいセット数を指定することができる。
ちなみに、タイヤの準備には時間が必要となるため、ピレリではヨーロッパ圏内でのグランプリの場合は8週間前、その他の地域でのグランプリについては14週間前までに希望するセット数をピレリに申し出ることになっている。
だが、実際のところ、新型コロナウイルスの影響を大きく受けてしまった2020年は、いつどこでグランプリが開催されるかギリギリまでわからない状況となったこともあり、特例として、ピレリがそのグランプリで使用するにあたってもっともふさわしいと考えたコンパウンドセットを決め、全ドライバーに同じ種類のタイヤコンパウンドを同じ本数供給することになった。
そして、2021年シーズンもそれと同じ方式がとられたが、今シーズンもそのやり方が継続されることになっている。
これは、2022年も新型コロナウイルスによる不透明な状況が続く可能性があるためだろうが、実際のところ、別の理由もあったようだ。
このほどイゾラが語ったところによれば、F1チームたちが、今後もピレリが使用タイヤの構成を決め、それを全ドライバーに平等に適用するというやり方を継続することを望んだのだという。
「我々はパンデミックにおいて速やかに対応するためにこの対応策を考えたんだ」
イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』にそう語ったイゾラは次のように続けた。
「だが、その後、自分たちはこのシステムに非常に満足しており、今後もこのシステムを維持したいとチームたちが言って来たんだ。だから、そのやり方を続けることにしたのは、我々が選択したことではなかったんだ」
「彼らは我々に、固定配分すれば全員にとって平等であり、誰もそれでアドバンテージを得ることができないと言ってきたよ」
「そうすれば、彼らはソフト、ミディアム、ハードのどれを余分に持っていった方がいいかなどということに時間や労力や人員を費やすことなく、明確な戦略立案ができるようになるということだ」
そう説明したイゾラは、次のように結んでいる。
「彼らは、自分たちのために選択されたタイヤで取り組む方がよいと考えている。2023年にこれが変わるかどうかはわからないが、今のところはこういう状況だよ」