レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、2021年のF1チャンピオンとなったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)や通算7回F1王座についたルイス・ハミルトン(メルセデス)に近い能力を持っている現役ドライバーはマクラーレンのランド・ノリスだと考えている。
昨年まで現役最年長F1ドライバーだった42歳のキミ・ライコネンが引退したが、F1の世界にも確実に世代交代の波が押し寄せているようだ。
新チャンピオンとなったフェルスタッペン(24歳)を始め、フェラーリのシャルル・ルクレール(24歳)、今年からメルセデスで走ることになるジョージ・ラッセル(23歳)、アルファタウリのピエール・ガスリー(25歳)、アルピーヌのエステバン・オコン(25歳)、そしてマクラーレンのノリス(22歳)などの若いドライバーが着実にF1の第一線で活躍するようになっている。
こうした中、オーストリア出身の78歳のマルコは、現時点においてはフェルスタッペンとハミルトンが抜きん出た存在であるものの、それに一番近い位置にいるのはノリスだとドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「彼らに最も近いのは(ランド)ノリスだ。ルクレールは、(カルロス)サインツに正体を暴かれてしまったとも言えるだろう」
かつてはレッドブルの育成ドライバーとして2015年にフェルスタッペンとともにセカンドチームのトロロッソ(現アルファタウリ)でデビューしたサインツは2017年シーズン途中からルノーに加わり、2019年からはマクラーレンでノリスと共に走っていた。
2021年にセバスチャン・ベッテル(現アストンマーティン)の後任としてフェラーリに移籍したサインツは、予選では13対9でルクレールに敗れたものの、レースでは安定した走りを見せ、ドライバーズランキングでは7位に終わったルクレールを上回る5位でフェラーリでの初年度を終えている。
一方、2021年にマクラーレンで3年目のF1シーズンを迎えたノリスは、新たなチームメートとなったベテランのダニエル・リカルドを圧倒するパフォーマンスを見せ、ドライバーズランキング6位で終えている。
ノリスは2021年には2位1回、3位3回と4回の表彰台をゲット。第15戦ロシアGPでは初のポールポジションも獲得している。そのロシアGP決勝では終盤までトップを快走していたものの、降雨によりコンディションが変化したときにタイヤ交換に失敗して勝利を逃してしまった。しかし、このレースでノリスがそのポテンシャルを十二分にアピールしたのは確かだ。
一方、2022年にそのノリスよりも活躍を見せるのではないかと予想されているのが、ウィリアムズからメルセデスに移籍したラッセルだ。
マルコも、ラッセルの方が今季アルファロメオに移籍した前任者のバルテリ・ボッタスよりも才能があると見ているようだ。
マルコは、メルセデスのドライバーが2人ともイギリス人になったこともあり、2022年のハミルトンはより厳しい試練を受けることになるだろうと次のように語った。
「ラッセルはハミルトンにとって、より大きなチャレンジになることは間違いないだろうね。彼はイギリス人でもあるからね」
だが、マルコは、“ミスター・サタデー”との愛称さえ得たラッセルの予選ペースを評価しているものの、レースペースに関してはまだ判断はできないと次のように付け加えている。
「彼は予選では信じられないほど速いドライバーだ。しかしレースでは(ニコラス)ラティフィとの差はそれほど大きくはない。ラッセルはまず自分自身を証明しなければならないね」