今週末と来週末にかけて最終決戦を迎える2021年のF1タイトル争いだが、元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、現在ルイス・ハミルトン(メルセデス)を8ポイント差でリードしているマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)の方が心理的に優位に立っていると考えている。
かつてウィリアムズやトヨタで活躍したラルフ・シューマッハは、今季初のF1タイトル獲得に挑戦しているフェルスタッペンの場合は、万一それに手が届かなくともそれほど大きなダメージはないはずだと母国ドイツのテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』に次のように語った。
「最終的に、マックスは負けても『近いところまで行けたけれど、うまく行かなかっただけだ。だけど、また挑戦する時間は十分にある』と言うことができる」
「ルイスにとっては少し状況が違う。だから、私の考えでは、彼の方が大きなプレッシャーを感じていると思うよ」
ラルフ・シューマッハはさらに、ハミルトンの場合は今週末のサウジアラビアGP(5日決勝)でフェルスタッペンがホイール・トゥ・ホイールのバトルをしかけてきても、自分がポイントでリードを許しているだけにクラッシュはできないためにアクセルを緩めるしかないだろうと示唆している。
「彼はすでにブラジルでもそうしていたし、すごく上手にやってのけたよ」
ブラジルで行われた第19戦サンパウロGP決勝でフェルスタッペンからコース外に押し出されるような形となりながらもクラッシュすることを避け、その後オーバーテイクし直してみせたハミルトンに言及してそう語ったラルフ・シューマッハは次のように続けた。
「その後、ペナルティの話が出てきたことには少し違和感を覚えたが、ハミルトンはマックスがリードしているという単純な理由により、マックスに注意する必要があるんだ」
「私は最後の2レースが事故なく終わることを願っている。マックスがクラッシュをしかけるんじゃないかと言う者もいるが、私は本当にそうならないことを願っているよ」
「そして肝心なのは、ファンは公平な判定のもとで優れたドライバーが勝つのを見たいと思っているんじゃないかな」
一方、今季限りでのF1引退を決めた2007年のF1チャンピオンであるキミ・ライコネン(アルファロメオ)は、残り2戦でフェルスタッペンとハミルトンが激しい戦いを演じることは避けられないことだと考えているものの、それを煽るようなことがあってはならないとも考えているようだ。
「1人が何かに憤れば、もう1人も同じだ。だけど、実際のところこれらはすべて誇張されているよ。あまりにも多くのことが報道され、大きな物語が作られているからね」
そう語った42歳のライコネンは次のように付け加えた。
「そうしているのはF1とメディアだと思うよ」