元F1最高責任者であるバーニー・エクレストンは、2021年のF1タイトル争いをするマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)が残り2レースでクラッシュすることも十分にありうると考えている。
「確かに、それは起こりうるよ」
ドイツのテレビ局『RTL』にそう語った90歳のエクレストンは次のように続けた。
「我々はこういう戦いを長いこと待ち望んでいた」
「だからこそ、ファンはF1を見るのさ」
レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)も、現在のF1が近年にはなかったような熱気を帯びたものになっているのは確かだと考えている。
「今年のF1タイトル争いの激しさは、これまでに経験したことのないものだ」
そう述べたマルコは、現在フェルスタッペンがハミルトンを8ポイントリードしていることに言及しながら次のように続けた。
「それはクッションではあるが、十分ではないよ」
「しかし、レースの戦略設計においては、それは一定のセーフティ・マージンだし、マックスももちろんそのことを頭の片隅に置くことになるだろうね」
そういう状況のもとでフェルスタッペンとハミルトンがクラッシュする可能性について質問されたマルコは、次のように答えている。
「彼らがコース上で顔を合わせるときは常に非常に接近してしまう」
「負けたいと思う者など誰もいないし、それは理解できることだ。そうでないと事実上相手に強さを与えてしまうことになるからね」
メルセデスは、ブラジルで開催された第19戦サンパウロGPでハミルトンのマシンに新しいエンジンを投入したが、続く第20戦カタールGPではそのパワフルなエンジンを温存していた。そして、今週末に行われるサウジアラビアGP(5日決勝)と来週末に開催される最終戦アブダビGP(12日決勝)ではライバルから“ロケット”とも評されているそのエンジンを使用することになっている。
今季初開催となるサウジアラビアGPの舞台ジェッダ市街地サーキットは長いストレートが多い高速サーキットだけに、今週末もパワフルなエンジンを持つハミルトンが優位に立つと考えている者も多い。
だが、マルコは次のように語った。
「我々はそうは考えていないよ」
「ここは市街地サーキットだ。そして、ハミルトンに弱点があるとすれば、そのひとつは市街地サーキットだ」
「彼はモナコでは前にいなかったし、バクー(アゼルバイジャンGP)でもそうだった。私はこの流れが続くことを期待しているよ」
一方、マルコによれば、ハミルトンとタイトル争いを演じているフェルスタッペンは非常にリラックスしているという。
「マックスはすごく安定した人間なんだ。彼は自分の意見を持ち、日課をこなし、ソーシャルメディアを遠ざけて自分にとって大切なことに集中しているよ」
そう語った78歳のマルコは次のように付け加えた。
「だから、彼にはあまり変わったことをする必要はないんだ」