ルノーのF1ワークスチームであるアルピーヌの非常勤取締役を務める元F1ドライバーのアラン・プロストが、もしF1がリバースグリッドを導入するようなことがあればこのスポーツから手を引く可能性もあると主張した。
F1では今年試験的に導入している「スプリント予選」の運用方法を2022年シーズンには修正する可能性を示唆しており、リバースグリッド方式の導入も検討していると伝えられている。そして、一部のドライバーからも「グリッドが変動した方が面白い」という意見が出ているという。
リバースグリッドというのは、例えばスプリント予選でトップだった者がポールポジションから決勝をスタートするのではなく、スプリント予選でトップから10位までに入ったドライバーのスターティンググリッドを逆にして決勝をスタートさせるというような仕組みのことだ。
そうすれば、速いマシンに乗るドライバーがスタートからレースをリードすることはできず、前のクルマをオーバーテイクしていかなくてはならず、必然的にコース上でのバトルが増えるわけだ。
しかし、かつて4度F1チャンピオンとなった実績を持つプロストは、リバースグリッドはF1にとって越えてはならない一線だと考えている。
「F1がいくつかのことを試すのはいいことだと思う。だが、なぜこれをやりたいのかをよく考える必要がある。どうしてなのかを自分自身に問わなくてはならない」
そう語った66歳のプロストは次のように続けた。
「F1は伝統を守らなくてはならない」
「最高のマシンと最高のドライバーが勝つのは、彼らが最高だからだということを理解しなければならないよ。それがF1本来の趣旨なんだ」
「私はスタート順を逆にするという考えは大嫌いだ。もしF1がリバースグリッドを導入するなら、私はこのスポーツから去るだろう」
「それはF1にとっては最悪のことだと思う」
「私はむしろ、最高の仕事をしたチームが支配するのを見る方がいいよ」
プロストはそう語ると、今季試験導入されているスプリント予選の上位3人にポイントが付与されることに言及しながら次のように付け加えた。
「だが、私はかなりの伝統主義者だ。ポールポジションにポイントを与えることさえ好ましいとは思わないよ」