ジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)がF1でさらに上を目指すために、メルセデス以外の選択肢を考慮することになるかもしれない。
メルセデスの育成ドライバーとして現在もメルセデスとの契約下にある23歳のラッセルだが、2020年のF1第16戦サヒールGPで新型コロナウイルスに感染したルイス・ハミルトンの代役としてメルセデスから出走したときにはチームのピット作業ミスさえなければ優勝していたはずの活躍を見せた。
これによりさらに評価が高まったラッセルだが、今年もメルセデス昇格はならず、万年最下位チームであるウィリアムズで3年目のF1シーズンを送っている。
もちろん、ラッセルとしては2022年にバルテリ・ボッタスに代わってメルセデスでルイス・ハミルトンの新たなチームメートとなることを目指しているわけだが、ハミルトンは自分の立場を脅かす可能性のあるラッセルよりも、ボッタスの続投を望んでいると考えられている。
そしてもちろんウィリアムズとしても優秀な若手ドライバーであるラッセルを来季以降も自分たちの手元に置いておきたいと考えている。
だが、いつまでたってもメルセデスに昇格するチャンスが与えられないことで、今年いっぱいで現在のウィリアムズとの契約が終了するラッセルがどこかほかのチームに移籍する可能性もあるのではないかとのうわさもささやかれ始めている。
こうしたうわさについて質問されたウィリアムズのチームCEOであるヨースト・カピートは次のように語った。
「ジョージはもう何年もメルセデスのドライバーだったし、彼らが彼を手放すとは思わないよ。だが、どうなるかはそのうちに分かるだろう」
「我々にはドライバーに関する話をする時間はある。今はそのことを話し合う必要はないよ」
伝えられるところによれば、ラッセル本人は2022年のシートに関しては今年の夏休みまでにはっきりさせたいと考えているようだ。
こうした中、かつてマクラーレンでメカニックを務めていたマーク・プリーストリーは『Daily Express(デイリー・エクスプレス)』に次のように語った。
「もし彼がウィリアムズにとどまるなら、彼はまた後方から抜け出せないことになる」
「確かに、彼はグリッドに並ぶだろうが、後方にしか過ぎない。その魅力は限られているよ」
ラッセルの今後の方向性を定めていくのは、現時点においてはメルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフ(チームCEO)ということになる。だが、メルセデスの契約下にありながら現在ほかのF1チームで走っているのはラッセルだけではない。現在アルピーヌで走っているエステバン・オコンも同じ立場にある。
そして、最近の報道によれば、ヴォルフは2022年もオコンをアルピーヌで走らせるつもりであることを示唆しているという。
プリーストリーは、2022年にメルセデスに昇格するチャンスがなければ、ラッセルもエンストンにファクトリーを構える旧ルノーF1チーム(アルピーヌ)への移籍を考える可能性もあるだろうし、その場合メルセデスとの契約を解除することさえいとわないのではないかと考えている。
「ジョージ・ラッセルは『ありがとう、でも僕はメルセデスと別れて一人でやっていくよ』と言うだろうか? そのときには恐らくルノー(アルピーヌ)も彼の選択肢となるだろう」
そう語ったプリーストリーは次のように付け加えた。
「それはいいオプションだと思うし、彼ももう少し上のグリッドにつくことができるよ」
プリーストリーは2000年にマクラーレンに加入し、2008年にルイス・ハミルトン(現メルセデス)が自身初のF1ドライバーズタイトルを獲得した際にメカニックとして中心的役割を担っていた人物だ。プリーストリーは2009年にマクラーレンを離れ、以後はモータースポーツ解説者としてテレビを始めさまざまなメディアで活躍している。