ウィリアムズの新CEOに就任したヨースト・カピートが、F1は「競争に対する人為的な制限」を行わないようにするべきだと語った。
パワーユニットと呼ばれるハイブリッド方式F1エンジンが導入された2014年以降、メルセデスが7年連続でF1ドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルを独占し続けている。
昨年新型コロナウイルスのパンデミックによりF1チームが財政的打撃を受けたことから、今年は2020年型F1マシンを引き続き使用することが定められている。
だが、今年の技術ルールにより、その2020年型マシンには一定の空力的修正を施さなくてはならないことになっており、恐らくはその結果だと考えられるが、メルセデスはバーレーンで行われたプレシーズンテストにおいて予想外とも言える苦戦を強いられていた。
これに関して、フェラーリのスポーティングディレクターを務めるローラン・メキーは次のように語った。
「どこがタイトル獲得の有力候補かと言えば、それは今年もメルセデスだ」
「しかし、彼らにとってはこの7年間で最悪の形でシーズンを迎えることになったんじゃないかな」
実際のところ、ファンや関係者の中にもメルセデスばかりが勝つF1は面白くないと考えている者がいるのは確かだろう。
だが、カピートはF1がさまざまなルール変更によってパフォーマンスを人為的に均等化しようとしないことを望んでいるようだ。
「あるチームが何年もの間支配しているとすれば、それはそのチームがほかのチームよりも優れているからだ」
かつてフォルクスワーゲンのモータースポーツ責任者を務めていたカピートはそう語ると次のように続けた。
「例えば、ラリーでフォルクスワーゲンが素晴らしい成功を収めていたとき、ジャン・トッド(統括団体であるFIAの会長)が来て『君は勝ちすぎだ』と言ったことがある。それに対して私はこう答えたよ。『ほかの連中に君らは負けすぎだと言うほうがいいと思うよ』とね」
「モータースポーツでは、特にF1では、競争に人為的な制限を加えるべきではないよ。もし誰かが10年連続で勝っても、それはそれでいいんだ。ほかの者たちが追い付かなくてはならないんだ」
カピートは、人為的制限をあまりにも多く導入すればF1そのものがダメージを受けることにつながると語り、次のように付け加えた。
「F1の価値が下がれば、関係する者みんなの価値が下がってしまう。チームのミーティングでは、私はどこかのチームの利益よりもこのスポーツの利益を優先する決定を常に支持するつもりだよ」