フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットが、今後数か月の間に数百万ユーロ(数億円)以上の大金を投じた最新式のシミュレーターを備える準備をしていることを明らかにした。
「これは重要かつ非常に高額の投資となる」
母国イタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』にそう語ったビノットは次のように付け加えた。
「ハードウエアに数百万ユーロをかけることになる。だが、何よりも重要なのは特注ソフトウエアだ」
フェラーリではこの新シミュレーターの導入に加え、ミハエル・シューマッハ時代に活躍した有名なF1マシン設計者であるロリー・バーンをアドバイザー的な形で迎えることになっているが、これに関して、ビノットは次のように説明している。
「白紙から始めるときには経験ある人材が必要だからね」
フェラーリ、そしてビノットの視線はすでに新技術ルールが導入される2022年に向けられているようだ。
しかし、今季悲惨とも言える状態に陥っているにもかかわらず、ビノットがフェラーリのチーム代表職に留まることができていることを不思議に思っている者も少なくないようだ。
ドイツ出身の元F1ドライバーであるティモ・グロックも『Speed Week(スピードウィーク)』に次のように語った。
「どうやら彼は水も漏らさぬ契約を手にしているようだね」
「通常であれば、こういうことになった場合には彼が去らなくてはならないことは比較的はっきりしている。だから、彼があとどれくらい持ちこたえられるのかが興味津々だよ」
グロックは、フェラーリが冒した大きな失敗は2019年に合法性に疑問があるエンジンを投入したことだと考えている。
「グレーなエリアに手を染めるようなことはしないものさ。そのリスクは大きかったし、今彼らはそのツケを払っているんだ」
かつてトヨタやヴァージンで活躍していたグロックはそう語ると次のように付け加えた。
「彼らにとって(2022年に)新ルールが導入されるのはうれしいことだろう。だが、エンジンパワーはエンジンパワーだ。彼らはまずそれに取り組まないとならないよ」