新型コロナウイルスの影響により2020年の修正版F1カレンダーに初登場し第9戦トスカーナGPを開催したムジェロ・サーキットだが、2021年以降再びF1カレンダーにその名が記される可能性は小さいようだ。
フェラーリが所有するムジェロ・サーキットでF1が開催されたのは今年が初めてのことだったが、現役F1ドライバーたちはこのサーキットを高く評価している。
例えば、フェラーリのシャルル・ルクレールは次のように語った。
「僕はこのサーキットが通常のカレンダーに載って欲しいと思っているよ」
「正直に言えば、最初は少しばかり疑っていたんだ。だけど実際にレースをしてみたらオーバーテイクもたくさんできることが分かった。その意味においては、あのサーキットは驚くほどいいよ」
また、ルノーのダニエル・リカルドも次のように語っている。
「僕たちはみんな恐れていたと思う。レースには向かないサーキットじゃないかなとね。だけど、全く退屈することなどなかったよ。1年の中でも最高レベルにワクワクするレースだった」
「多くのドライバーがまた戻ってきたいと思っているんじゃないかな。だけど、僕たちはモンツァも大好きなんだ。だからあそこを犠牲にしてまでとは思わないけれどね」
「両方ともやれればすごくいいと思うよ」
しかし、F1ではすでに2021年のカレンダーの策定作業に入っており、それは本来2020年に実施される予定であった22戦で構成されることになると考えられており、ムジェロがそこに割り込む隙はなさそうだ。
さらに、ムジェロで通常のF1財政モデルに従ってグランプリを開催することは困難だという見方も強いようだ。実際のところ、新型コロナウイルス問題により2020年の修正版カレンダーに加えられたレースのうちいくつかに関してはサーキット側がレース開催料をF1オーナーのリバティ・メディアに支払うことなく、逆にリバティ・メディアが開催補助金を支払う条件になっていると言われている。
テレビ局『RTL』(ドイツ)の記者を務めるフィリクス・ゴーナーは次のように語っている。
「もちろん、それはこのビジネスの基本ではない」
「イタリアで今後も2つ目のレースが開催される見込みは非常に小さいだろう」
しかし、ゴーナーもムジェロは近代F1サーキットにはない特性を持つ捨てがたいところだと次のように付け加えている。
「あのサーキットは魅力的であるだけでなく、特性がある。とりわけ、グラベルにはまってしまうと抜け出すことができなくなることだ。それはつまりミスは許されないということだ。もしミスをすれば、レースはそこで終わってしまうからね」