F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は、“ピンク色のメルセデス”と呼ばれているレーシングポイントの2020年型F1マシンの合法性に関する検討を今週の水曜日(5日)に行うことになるようだ。
2019年型メルセデスF1マシンにそっくりなことから、現在のF1ルールで認められていないレベルの“コピー”が行われているのではないかとの疑念をもたれているレーシングポイントだが、すでにルノーは第2戦シュタイアーマルクGP、第3戦ハンガリーGP、そして先週末に行われた第4戦イギリスGPと3戦連続でFIAに対して異議申し立てを行っている。
そして、フランスの『AFP通信』がこのほど、この案件に関するFIAのF1競技委員たちによる検討会が5日(水)に行われる予定だと報じた。だが、その裁定結果に関する発表が行われるのはその後1週間程度後になるだろうという。
ちなみに、レーシングポイントでは今年のF1マシン「RP20」は見た目こそメルセデスの2019年型車に似ているものの完全に合法だと主張している。
メルセデスからエンジン供給を受けているレーシングポイントのアンドリュー・グリーン(テクニカルディレクター)は、特にルノーが問題視しているブレーキダクトの件に言及しながら次のように語った。
「FIAは我々のファクトリーを視察し、ブレーキダクトに関する全ての文書を確認した」
「その日のうちに、彼らはメルセデスの設計と比較し、彼らの意見を言っていたよ」
ところが、FIAの技術責任者であるニコラス・トンバジスは最近、実際のところレーシングポイントのファクトリーを訪問した際にブレーキの冷却用ダクトに関する話はしていないとコメントしていた。
この矛盾点について質問を受けたグリーンは次のように答えた。
「彼(トンバジス)はその調査のときにはおらず、彼の仲間が来ていたんだ。我々は彼らにすべてを示し、あらゆることについて話し合ったよ」
「我々は設計を隠そうとなどしなかったし、それらは我々がFIAに提出した説明書にも含まれている」
「彼らは我々の手法がメルセデスの手法に似ているとコメントしたが、それは我々が2019年にメルセデスからエアダクトを購入していたからだと説明したよ。当時はそれが許されていたからね」
「我々の弁護士たちはすでに数週間前からこの問題に取り組んできており、ほかの書類もいくつか先週末にかけてFIAに送っているよ」
「我々は、自分たちが完全にルールに則って行っているということを示したし、今回の異議申し立ては却下されるはずだと信じているよ」
だが、ライバルチームであるマクラーレンのザック・ブラウン(チームCEO)は、今年レーシングポイントがとった手法には問題があると考えているようだ。
「合法か非合法かはともかく、私はレーシングポイントはやり過ぎたと思っているよ」
カナダの『Le Journal de Montreal(ジュルナル・ド・モントレアル)』にそう語ったブラウンは次のように付け加えた。
「F1においては、ある程度のコピーはつきものだ。だが、それでも守るべき限度はあるよ」