メルセデスF1チームのCEOを務めるトト・ヴォルフが、もしもルイス・ハミルトンがフェラーリに移籍することになればそれに対応する心づもりはあると語った。
ハミルトンは先週末に行われた今季のF1第19戦アメリカGPで通算6回目となるドライバーズタイトルを手中に収めた。これでF1歴代単独2位のタイトル獲得記録を作ったハミルトンの次の目標はミハエル・シューマッハが持つ7回の歴代最多記録に並び、そしてそれを超えることだろう。
ハミルトンは2014年から6年連続でF1ダブルタイトルを独占し続けているメルセデスと2020年までの契約を結んでいる。だが、2021年にはF1レギュレーションが大きく変わることもあり、メルセデスがその後もこれまでのような強さを発揮し続けることができるかどうかはまだ不透明な状態だ。
もちろん、ヴォルフとしては2021年以降に向けてハミルトンとの契約を更新したいと考えており、そのための交渉が近いうちに始まることになるのは確かだ。
だが、今シーズン後半にはフェラーリが非常にパフォーマンスを高めてきていることもあり、ハミルトンが2021年にはフェラーリに移籍する可能性もあるのではないかとのうわさがまたささやかれるようになっている。
こうしたうわさについて質問されたヴォルフはテレビ局『Sky Italia(スカイ・イタリア)』に次のように答えた。
「ドライバーたちがF1で最も重要なブランドであるフェラーリを夢見るのは当然のことだよ」
「赤はF1における太陽のようなものだからね」
ハミルトンもその“太陽”を追い求めることになると思うかと尋ねられたヴォルフは次のように続けた。
「彼にはそれは必要ないよ。彼に必要なのは勝つことだ」
「彼に必要なことはこの仕事を愛している人たちと一緒のチームにいることだ。そして彼の感情と心は間違いなく今のメルセデスとともにあるよ」
だが、ヴォルフもハミルトンが2021年にフェラーリ加入の夢を実現しようと思う可能性もあると認めている。
「我々はF1において最も競争力のある2人のドライバーを擁することを望んでいる。そして現時点では彼(ハミルトン)が我々にとっての最優先だ」
そう語ったヴォルフは次のように付け加えた。
「だが、もし彼が(ドライバー)市場に目を向けたいというのであれば、我々も同じようにする必要がある。そして私にはほかにも目を付けているドライバーがいるよ」
これまでに報じられたうわさなどによれば、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンも2021年にフェラーリかメルセデスへ移籍することを望む可能性もあると考えられている。
ヴォルフの眼中にあるドライバーが誰のことなのかは分からないが、2020年シーズン序盤の各チームのパフォーマンスや新レギュレーションによる2021年型マシンの開発進展状況によっては2021年に大規模なドライバー移籍が起きる可能性もありそうだ。