レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)が、レッドブルが不振のピエール・ガスリーをはずす準備をしているといううわさは「デマ」に過ぎないと主張した。
●【レース結果】F1フランスGP決勝のタイム差、周回数、ピット回数
■フェルスタッペンとの差が大きすぎるガスリー
レッドブルの育成ドライバーである23歳のガスリーは昨年ジュニアチームのトロロッソで初のF1フルシーズンを経験。だが、ダニエル・リカルドがルノーへの移籍を決めたことで今季はマックス・フェルスタッペンのチームメートに抜擢されている。
だが、ここまでのところガスリーの調子が上がらず、ポイントランキングもかろうじてトップ3チームドライバーの中では最後尾となる6番手につけているもののここまでに獲得できたポイントは37ポイントと、フェルスタッペンとはすでに63ポイントもの差がついてしまっている。
■フランスでのガスリーには「不満」だとチーム代表
先週末にポール・リカール・サーキットで開催された今季のF1第8戦フランスGPでも予選でマクラーレン勢やルノーのリカルドにも先行を許し9番グリッドからスタートしたガスリーは、決勝ではキミ・ライコネン(アルファロメオ)とニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)にも後れをとり2つ順位を落として11番手でフィニッシュしていた。
レース後に7番手でチェッカーフラッグを受けていたリカルドにタイム加算ペナルティーが科されたことで正式結果では順位がひとつ繰り上がって10位となり1ポイントを獲得できたとは言え、チーム代表のクリスチャン・ホーナーもガスリーのパフォーマンスには「不満が残る」とコメントしていた。
■ガスリー更迭のうわさが再燃
そうした中、ポール・リカールでマルコが今季トロロッソでF1復帰を果たした元レッドブルドライバーのダニール・クビアトのマネジャーと話をしていたところが目撃されていた。現在ロシア人ドライバーであるクビアトのマネジャーを務めているのはジャン・トッドFIA(国際自動車連盟)会長の息子ニコラ・トッドだ。
こうしたことから、レッドブルではクビアトを再びレッドブルに昇格させ、ガスリーをまたトロロッソに降格する準備を進めているのではないかとのうわさが強くささやかれるようになっている。
■今シーズンは最後までガスリーでいく計画だとレッドブル首脳
しかし、このうわさに関し、マルコは『Motorsport-Magazin.com』に次のように主張した。
「いや、そのうわさはデマだよ」
「先週はニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)がうわさにのぼっていた。そして今度はクビアトだ」
「私は大勢の人たちと話をするし、彼の父親のジャンとも話をしたよ」
そう語ったマルコは次のように付け加えた。
「彼(ガスリー)はフランスでの自分のスピードを心配する必要がある。だが、我々は今シーズンをガスリーとともに終える計画をしている」
■「マシンの感触が違っていた」とガスリー
一方、ガスリーは自分にとってホームレースであったフランスGPでパフォーマンスがよくなかったのは、クルマのフィーリングが以前とは違っていたのだと次のように語っている。
「クルマがあんな感じだったことは一度もなかった。どうしてあんな状態だったのか、僕はまだその答えを得ていないよ」
マルコは、次戦オーストリアGP(30日決勝)までの間にガスリーのクルマを完全にチェックすることになると語っており、ガスリーのペース不足の原因がクルマに起因するものだったのかどうかを明確にすることになるとしている。
■ガスリーの立場は微妙だと元F1ドライバー
だが、マルコの今回のコメントにもかかわらず、元F1ドライバーのギド・ヴァン・デル・ガルデはガスリーがレッドブルのシート喪失の危機にあるのは間違いないと考えている。
「彼ら(レッドブル)はアレクサンダー・アルボンを試してみることもできるんじゃないかな。彼はうまくやっているしね」
オランダの『Formule 1(フォーミュレ1)』にそう語ったヴァン・デル・ガルデは次のように付け加えた。
「誰であろうと、マックスよりはコンマ1秒か2秒遅いだろうね。だけどコンマ5秒は大きすぎるよ」
実際のところ、フランスGPの予選Q3でのフェルスタッペンとガスリーのタイム差は0.775秒も開いてしまっていた。
「ガスリーは本当にいいドライバーだよ。だけどレッドブルのようなチームに来てフェルスタッペンのようなチームメートとやるのはプレッシャーを感じてしまうし、すごく難しいことなんだ」
そう続けたヴァン・デル・ガルデは次のように付け加えた。
「英語の言い方を借りれば、プレッシャーによって彼にはひびが入ってしまっているんだ。僕ならガスリーに夏休みまで猶予を与えるね。そしてもし状況が改善されなければ、レッドブルはどうすべきか考えることになるだろう」