ホンダの後押しを得てF1昇格を目指している日本人ドライバーがいる。今季F1直下のカテゴリーであるF2選手権に参戦している松下信治だ。
2014年に全日本F3チャンピオンとなった松下は2015年にはヨーロッパに渡りARTグランプリからGP2シリーズに参戦。その年は1勝をあげてランキングは9位だった。
2016年もGP2に参戦。そしてこの年にはマクラーレン・ホンダの開発ドライバーにも就任。翌2017年にはこの年からF2と名称を変えた同シリーズで3年目を迎え、2勝をあげてランキング6位という成績を残している。
しかし、F1昇格に必要なスーパーライセンスポイントを手にすることができなかった松下は2017年限りでF2シートを喪失。2018年は日本に戻ってスーパーフォーミュラに参戦。年間ランキングは11位で終えている。
その松下は今季再びF2シリーズへ挑戦。所属チームはカーリンだ。
「僕はまだF1のシートを手に入れることを夢見ているんです」
そう語った25歳の松下は次のように付け加えた。
「これは全てのホンダドライバーにとって大きな夢です。でも僕自身やほかの日本人F3ドライバーたちもF1スケジュールに合わせてこちらでレースをしていますし、F1関係者も僕たちのレースを目にすることになります」
松下は1年のブランクを経て再びF2に戻ってこられたことをうれしく思うと次のように続けた。
「もちろん、ここ(F2)はF1に近いですし、(F1同様)ピレリタイヤを使って同じサーキットでレースをしています」
「僕はホンダに言ったんです。チャンスがあるなら戻ってきたいと。彼らはそれについてホンダ全体で話し合い、僕にそのチャンスを与えることを決めてくれました」
松下が言うように、F2がF1に一番近い存在であることは確かだ。昨年F2をランキングトップ3で終えたジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)、ランド・ノリス(マクラーレン)、そしてアレクサンダー・アルボン(トロロッソ)が今季F1デビューを飾っているし、2017年のF2チャンピオンとなったシャルル・ルクレールも2018年にザウバーでF1デビューを飾り、今年はフェラーリのシートを獲得している。
「F1に少しだけ近づいたのは確かです。ですが、僕が結果を出さなくてはならないことも確かです」
「ホンダはスーパーライセンスを得ること以外、僕にまだ何の目標も設定していません。まずは、ここで自分の仕事をしなくてはなりません。もしそれができなければ、(F1昇格は)無理でしょう。ですから目指していることは2017年のときと全く同じです」
そう語った松下は次のように付け加えた。
「僕はF2で非常にいいパフォーマンスを示さなくてはなりません。そうすればチャンスが生まれるかもしれません」
今季のF2選手権はここまでに4ラウンド8レースを消化しているが、モナコでの第1レースで2位表彰台に上った松下は、現時点ではランキング10位に位置している。
2017年にF2で年間6位となった松下は現時点でスーパーライセンスポイント10ポイントを手にしている。
だが、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は、過去3年間の獲得ポイントが40ポイント以上の場合にしかスーパーライセンスを発給しないため、松下がそれをクリアするためには、少なくとも今年のF2を年間ランキング4位以上で終える必要がある。