今年のF1もまだ6戦を終えた段階だ。しかし、すでにF1ドライバーの移籍に関するうわさがメディアや関係者の間で飛び交い始めている。
こうしたうわさが飛び交う時期のことを「Silly Season(シリー・シーズン)」と呼ぶが、直訳すると「愚かな季節」という意味だ。もともと、あまり大したニュースがないときにくだらない予想記事などで穴埋めしたことがこの言葉の由来らしいが、確かにF1ドライバー移籍に関するうわさにも眉唾ものが多いのは事実かもしれない。
ともあれ、今季もメルセデスがあまりにも強すぎるということもあってか、早くもメディアにはそうした移籍情報が取り上げられ始めている。
■ベッテルが今季限りで電撃引退?
その中で最も注目を集めそうなのが、4度F1チャンピオンとなったセバスチャン・ベッテルが今シーズン限りでF1を引退するかもしれないというものだろう。
2016年にレッドブルからフェラーリに移籍したベッテルだが、以後3年にわたってタイトル獲得に失敗。とりわけ昨年はメルセデスと十分に戦えるF1マシンを手にしたと言われながら、自らのミスなどもあり結局メルセデスのルイス・ハミルトンに通算5回目のタイトル獲得を許している。
フェラーリの地元イタリアではベッテルをすでに見限ったような報道が増えており、ベッテルが抱えるプレッシャーも並大抵のものではなさそうだ。そうした中、現状に嫌気が差し始めたベッテルが真剣に今季限りでの引退を考え始めているようだとうわさされている。
ベッテルも現時点においてチームとの関係があまりよい状態ではないと示唆するようにモナコで次のように語っていた。
「僕はチームの一員だから、自分を優先するつもりはないよ」
「僕は今年のクルマと戦っているし、何度か苦しいときがあった。だけど、それは僕たちがクルマを適正なウィンドウに入れることに苦しんでいるという事実に結びつけられるものだと思っている」
■アロンソのフェラーリ復帰も?
ともあれ、メディアはすでにベッテル引退後に誰がフェラーリでシャルル・ルクレールのチームメートを務めることになるのかということについての推測記事を報じ始めている。
現在、候補となりうると考えられているのは、バルテリ・ボッタス(メルセデス)、ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)、ケビン・マグヌッセン(ハース)、あるいはセルジオ・ペレス(レーシングポイント)などのようだ。そして、2018年シーズンを最後にF1から去ったフェルナンド・アロンソのフェラーリ復帰説もささやかれている。
■レッドブルがヒュルケンベルグ獲得を視野に?
また、興味深いうわさのひとつに、ヒュルケンベルグがモナコでレッドブルとの交渉を開始したようだというものもある。
腕のいいドライバーだという評価が高いヒュルケンベルグだが、今年のルノーF1マシンの戦闘力不足により現時点ではわずか6ポイントしか獲得できておらず、ドライバーズランキングも15番手に沈んでしまっている。
うわさでは、レッドブルではあまりパフォーマンスがよくないピエール・ガスリーとヒュルケンベルグを交代させようともくろんでいるのではないかと言われている。
しかし、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が来季メルセデスへ電撃移籍する可能性もあるのではないかとのうわさもあり、レッドブルはそうした事態となったときに備えているのではないかと考えている者もいるようだ。
■どのチームにも「プランB」の用意が必要
ある関係者は、テレビ局『Sky Italia(スカイ・イタリア)』に次のように語っている。
「2014年にフェラーリとフェルナンド・アロンソの間に亀裂が生じたことがレッドブルにドミノ効果を及ぼしてしまった。ベッテルを失うという形のね」
「仮にハミルトンあるいはセバスチャンが(F1を)やめると決めたとしよう。もちろんそんなことは起こりそうにないが、フェラーリやメルセデスのようなチームではそうした場合に備えてプランBを用意しておかなくてはならないんだ」
「だから、フェルスタッペンとメルセデスの間には何かがあるようだとのうわさが聞こえてきているし、ダニエル・リカルド(ルノー)とフェラーリの間にも同じようなうわさがある」
そう語った人物は次のように付け加えている。
「それに、もしレッドブルがフェルスタッペンを失うことになると分かったらどうなると思う? 私は、モナコで彼らがニコ・ヒュルケンベルグに打診したと理解しているよ」