F1モータースポーツ担当マネジングディレクターを務めるロス・ブラウンが、フェラーリの事実上の“Bチーム”だと言われているハースF1のやり方を擁護する発言を行った。
2016年からF1挑戦を開始したアメリカのハースF1チームだが、参戦を開始するにあたって最初からフェラーリと技術提携契約を結び、いくつかのコンポーネントをフェラーリから購入する形をとっている。
■ルノーがハースのやり方を批判
こうした形でF1参戦を開始したチームはハースが初めてだが、ハースは参戦初年度に29ポイントを獲得し、コンストラクターズランキング8位で終えていた。2017年もランキングは同じ8位だったものの獲得ポイントは47に増加。そして2018年は93ポイントを稼ぎ出して、メルセデス、フェラーリ、レッドブル、ルノーに次ぐランキング5位に浮上している。
そうした活躍を見せるハースに対し、最近ルノーが批判を行ったことが報じられている。本来独自開発であることが求められるF1において、単にフェラーリからパーツを購入してマシンを造っているハースが自分たちをおびやかす存在になってきていることに不満を感じているためだ。
■ハースが反論「ルノーの批判はお門違い」
これに対し、ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、自分たちは現在のルールが許す範囲でほかのチームとの技術協力契約を結んでいるだけであり、批判される理由はないと次のように反論している。
「我々の仕事のやり方に口を出さないでもらいたいね」
「自動車メーカー系チームが結果を出せていないとすれば、それは自分たち自身の問題だよ。違うやり方でうまくやっているほかの人たちを批判すべきではないよ」
■ロス・ブラウンはハースモデルを歓迎
そしてこのほど、かつてフェラーリの技術トップを務め、自身のブラウンGPでF1タイトルを獲得した経験を持つブラウンがハースの肩を持つ発言を行ったと報じられている。
「ハースのモデルは興味深いね」
デンマークの『Ekstra Bladet(エクストラ・ブラデ)』にそう語ったブラウンは次のように続けている。
「彼らは非常にうまくやってきているし、我々もそれを保つ必要がある。それによって小規模チームでもかなりいい成績をあげる可能性が生まれるわけだからね」
「微調整を行う必要はあるが、ハースのモデルを大きく変える必要はないと思っている」
■課題はルールのさらなる明確化
ブラウンが言及した“微調整”とは、技術提携契約の名のもとに、小規模チームが事実上は大規模チームにとっての実験チームとして運用される可能性があると指摘されている部分について、ルールの明確化が必要だということのようだ。
「フェラーリのような大規模チームと協力関係にあるいくつかのチームに対する疑念を取り除かなくてはならない。すべてを明確にすることで、何が許され、何が許されないのかを全員が理解できるようにすることが必要なんだ」
そう語ったブラウンは次のように付け加えた。
「明確にすべきグレーなエリアがいくつかある。だが、ハースはいいモデルだし、それを破壊するようなことをしたいとは思わない」
伝えられるところによれば、F1オーナーのリバティ・メディアは現在2021年以降の新たなコンコルド協定締結を目指して、F1チームたちに2021年以降に導入する新たなF1運営方針を提示しているところだ。そして、その中にはギアボックスを含むいくつかのF1マシンのコンポーネントを標準化することも含まれているという。
ブラウンのハースに関するコメントは、そうした動きを裏付けるものだという理解もできそうだ。