4度F1チャンピオンとなった元F1ドライバーのアラン・プロストが、現在のF1タイヤルールは「ばかげている」と語った。
現在はルノーの特別アドバイザーを務めているプロストは、母国フランスの『L’Equipe(レキップ)』に次のように語った。
「もっとチームに自由度を与えるべきだよ」
「F1チームたちには自分たちが選んだタイヤに賭けて競わせたほうがいいよ。今はすべてが型にはまっているからね」
「ソチ(第16戦ロシアGP)での予選がいい例だ。いくつかのチームは最悪のタイヤでレースをスタートしたくないがために、Q3に進むことを望まなかった。あれはばかげているよ」
そう主張した63歳のプロストは次のように付け加えた。
「ドライバーたちは戦いにベストを尽くすことだけを望んでいるんだ。だが彼らは視聴者に対して、どうして8番手になるより11番手の方がいいのかを説明しなくてはならない。これは間違っているよ」
現在のタイヤルールでは、予選でQ3に進んだドライバーはQ2でベストタイムを出したときに履いていたタイヤセットで決勝をスタートすることが求められる。つまり、予選Q3に進んだドライバーたちは決勝をトップ10グリッドからスタートできるものの、Q2でアタックに使用したユーズドタイヤをはいてスタートしなくてはならないわけだ。
一方、Q3に進むことができなかったドライバーは、手持ちのタイヤの中から自由に決勝スタート時に使うタイヤを選択することが可能となる。
レースごとにさまざまな条件が違ってくるものの、あまり長持ちがしない中古の柔らかいタイヤでスタートするよりも、硬めの新品タイヤでスタートして最初のスティントを長めに走るほうがレース戦略的に有利となる場合もある。
そのため、ぎりぎりのところでQ3に食い込むよりも、有利なタイヤでスタートできるよう、あえて11番手12番手を狙うドライバーも出てくるわけだ。特に何らかの理由でグリッド降格ペナルティーを受けることが決まっている場合などには、わざわざ不利なタイヤで下のグリッドからスタートしたくないため、意図的にQ3に進出しないことを選択するのが定石となっている。
確かにこれはドライバーたちが全力を尽くして戦うところを見たいと願っているファンにとっては残念なことかもしれない。