セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がまだ2018年のF1タイトル獲得をあきらめてはいないと主張した。
先週末に行われた今季のF1第15戦シンガポールGPではルイス・ハミルトン(メルセデス)に優勝をさらわれ、自身は3位でレースを終えたことから両者のポイント差は6レースを残す時点で40ポイントに広がってしまった。
フェラーリの母国イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、ベッテルはシンガポールでF1タイトルに「さようなら」を告げたと書き、もはやベッテルとフェラーリが今季のタイトルをとるのは絶望的だと報じている。
■まだ何も失ったわけではないとアリバベーネ
だが、フェラーリのチーム代表を務めるマウリツィオ・アリバベーネは、これですべてが終わったとは考えていない。
アリバベーネは、まだ6レースが残されており、フェラーリはあきらめるつもりはないと次のように語った。
「失われたものは何もないんだ。我々は落ち着いているし、今後のレースに立ち向かい、最後まで戦い続ける決意だ」
■チャンスはまだあるとレッドブルのボス
2010年から2013年までベッテルとともにF1タイトル4連覇を達成したレッドブルのクリスチャン・ホーナー(チーム代表)もまだチャンスが完全に消えたわけではないとブラジルの『Globo(グローボ)』に次のように語った。
「2012年にも彼(ベッテル)は40ポイント差をつけられていたと思う」
「フェラーリには非常に速いクルマがあるし、これから150ポイントを獲得するチャンスもある。もちろん、ルイスが有利な位置にいるが、セブ(ベッテルの愛称)もプレッシャーのもとで非常にうまくやるし、当然あきらめるはずはないよ」
■まだ自力優勝の望みもあるとベッテル
ベッテル自身も今年のF1タイトル獲得をあきらめるつもりはないようだ。
母国ドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』から、どうすれば2018年のタイトルをとることができると思うかと質問されたベッテルは次のように答えている。
「まず、僕にはそうすることができるんだ。僕は4回それを証明してみせた」
「次に、僕たちにはメルセデスに引けをとらないクルマがある」
「シンガポールではうまくいかなかった。レースを勝てるはずなのにそうできないのは残念なことさ。だけど、僕は今でも自分たちに勝つことができるのは自分たちしかいないと思っている」
「僕にはまだ自力でF1チャンピオンになる可能性があるし、これからも戦い続けるよ」
■攻めを忘れたらレーシングドライバーではない
F1関係者の中には、ベッテルは重要な局面で冷静さを失ったり、あまりにも攻撃的になり過ぎたりすることが多いと考えている者もいる。だが、31歳のベッテルは、それは見当違いだと次のように主張した。
「僕のドライビングスタイルが4回のF1タイトルと52勝を僕に与えてくれたんだ」
「誰もが失敗することを恐れている。そして、誰にだってリスクをとれば間違えることがあるということも分かっている。だけどそのために自分を無力にしてしまうわけにはいかないんだ」
「アイルトン・セナは言ったよ。もしすき間を狙うことができなければ、もはやレーシングドライバーではないとね。僕もそう思うよ。それは僕たちがシンガポールでとったリスキーな戦略にも言えることさ。僕はこれからもチームを擁護していくよ」
■負けられないレースが続くベッテル
ベッテルはドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』にも次のように語っている。
「今後すべてのレースで勝てば大丈夫なんだ。これからはそれを目標にしていかないとならないよ」
仮に、残りの6レースすべてでベッテルが優勝した場合には、ハミルトンがすべてのレースで2位になったとしても、最終的に2ポイント差でベッテルに今年のタイトルが転がりこむことになる。