ホンダとマクラーレンにとって、来季に向けての大きなカギとなるのはやはりトロロッソのようだ。
マクラーレンが今季限りでホンダとの契約を解消し、来季からほかのメーカーのパワーユニットに切り替えたいと考えているのは確かだ。3シーズン目を迎えてもなお戦えるだけのパフォーマンスや信頼性をホンダが発揮できないためだ。
■マクラーレンに残された唯一の選択肢はルノー
だが、すでにメルセデスとフェラーリはマクラーレンへのパワーユニット供給を断ったと伝えられている。つまり、マクラーレンが本当にホンダと決別するのであれば、残された唯一の選択肢はルノーパワーユニットへの変更しかないということになる。
ルノーF1チームを率いるマネジングディレクターのシリル・アビテブールはF1ベルギーGPが開催された先週末のスパ・フランコルシャンで「マクラーレンと交渉を行ってきていることは確かだよ」と語り、
■現状ではマクラーレン・ルノー誕生は不可能
だが、ここで問題となるのは、現時点においてはF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が、パワーユニットサプライヤーが4チーム以上に供給を行うことを原則的に禁止していることだ。
現在ルノーでは自らのワークスチームに加え、レッドブルとそのジュニアチームであるトロロッソにパワーユニットを供給しており、これ以上供給チームを増やすことはできない状態にある。
ルノーの特別アドバイザーを務める元F1ドライバーのアラン・プロストは、仮にトロロッソがホンダに移行することがなければマクラーレン・ルノーが誕生する可能性はないと示唆し、ベルギーの『Sporza(スポルザ)』に次のように語った。
「マクラーレンはホンダエンジンに問題を抱えているため、我々に問い合わせてきたよ」
「だが、ルノーが(供給先を)もう1チーム増やすことは不可能だ」
■トロロッソがどのPUを使おうがかまわないとホーナー
だが、仮にホンダがうわさされてきていたトロロッソに来季パワーユニットを供給することになれば、枠がひとつ空くことになり、ルノーがマクラーレンに供給することも可能となる。
少し前にホンダとトロロッソの交渉が決裂したと報じられていたが、最新の情報によれば完全にその可能性が消えたわけでもないようだ。
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは次のように語っている。
「トロロッソがどこのエンジンを使おうが、我々にはまったく影響はない」
「ただ、どういう状況なのかを早急に知る必要がある。あと2週間ほどのうちにはね」
■間もなく明らかとなる来季のPU体制
こうしたことから、マクラーレンでは懸命にトロロッソとホンダの契約締結を後押ししており、同時にトロロッソにマクラーレン製ギアボックスを供給することも望んでいると伝えられている。
来季型F1マシンの設計製造を進めるにあたってどこのメーカーのエンジンを搭載することになるのかをすぐに決定する必要がある時期にきているのは確かだ。
マクラーレンやホンダがどういう状態で2018年シーズンを迎えることになるのか、遅くとも9月中にはその答えが出されることになる。