ホンダが今週末に開催される今季のF1第8戦アゼルバイジャンGP(25日決勝)に、改良を施した内燃エンジンを投入することになりそうだ。
■パワーユニット改善に苦戦するホンダ
当初、前戦カナダGPで改良版ユニットを投入する計画をしていたホンダだが、振動の問題などを解決することができず、結局モントリオールでは新スペックユニットの投入が見送られていた。
カナダでのばん回開始を期待していたマクラーレンはこのことで忍耐が限界を超えてしまったと言われており、うわさではすでにホンダとの契約を解除することを決定したようだともささやかれている。
ホンダF1プロジェクト責任者の長谷川祐介はその当時、バクー市街地サーキットで開催されるアゼルバイジャンGPに改良版ユニットを持ち込めるかどうかは約束できないとコメントしていた。
■バクーでは改良ICEを投入
だが、カナダGPではフェルナンド・アロンソのクルマに搭載されたパワーユニットのICE(内燃機関部分)が壊れてしまったことが明らかとなっており、少なくともアロンソのクルマには今季4基目となるICEが搭載されることになるのは間違いない状況となっている。
そして、長谷川は先週、そのICEは何らかの改善が施されたものになることを明らかにしている。
「バクーでの内燃エンジンは何らかの改良が施されたものになります」
そう語った長谷川は、次のように付け加えたという。
「それをスペック3と呼べるかどうかは分かりません。しかし、中間的なものになるかもしれませんが、間違いなく何か新しいものを投入することになります」
■期待されるアゼルバイジャンでのポイント獲得
伝えられるところによれば、ホンダは現在さくら市にある研究所HRD Sakuraにおいてパワーユニットの振動問題に対応するとともに、ライバルメーカーたちに対して90馬力ほど劣っているというパフォーマンス改善に向けて懸命な作業を続けているという。しかし、複雑にからみあったパワーユニットシステム全体のパフォーマンスを向上させるのは簡単なことではない。
アゼルバイジャンには何らかの改良が施されたICEが投入されるにせよ、それでマクラーレン・ホンダのパフォーマンスが大幅に向上するとは考えにくいのが現実だ。
それでも、アゼルバイジャンで今季初ポイントの獲得ができるなど一定の進歩が見られればまだ希望を残すことができるかもしれない。だが、もしそうできなければ、マクラーレンとホンダの決別、そしてアロンソのマクラーレン離脱という筋書きがいっそう現実味を帯びてくることになりそうだ。
■このままだとアロンソはF1を去る可能性も
かつてホンダF1ワークスチームの代表を務めていたニック・フライは、スペインの『La Sexta(セスタ)』に次のように語っている。
「彼(アロンソ)がどういう決断をするかによっては、フェルナンドはF1から失われた才能あるドライバーのひとりとして記憶されることになるかもしれない」