F1ロシアGP予選を終えて、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)は「ストレートだけでトップから2.5秒から3秒遅い」と嘆いた。
ここでは各セクター計測ポイントの通過速度をチェックしてみた。
■セクター1
■セクター1通過速度(km/h)
1 ハミルトン 279.2
13 アロンソ 268.6 +10.6
17 バンドーン 266.9 +12.3
■セクター1タイム
1 ハミルトン 33.517秒
16 アロンソ 34.720秒 +1.203秒
20 バンドーン 35.079秒 +1.562秒
セクター1の計測ポイントは、180度回り込むターン3を抜けて、右の直角コーナーのターン4過ぎ、ターン5の手前に設置されている。
ここではアロンソがトップのルイス・ハミルトンから10.6km/h遅い13番手、ストフェル・バンドーンはアロンソより1.7km/h遅い17番手で通過している。
■セクター2
■セクター2通過速度(km/h)
1 ボッタス 331.5
18 アロンソ 320.3 +11.2
20 バンドーン 317.4 +14.1
■セクター2タイム
1 ベッテル 31.910秒
17 アロンソ 33.268秒 +1.358秒
18 バンドーン 33.414秒 +1.504秒
セクター2の計測ポイントは、ターン10からターン13へと続く緩やかに曲がったほぼ直線区間の終わりに設置されている。そのためパワーユニットの速度差が大きくなりやすい。
ここでアロンソはトップのバルテリ・ボッタスから11.2km/h遅い18番手、バンドーンはアロンソより2.9km/h遅い最下位20番手で通過している。
■セクター3
■セクター3通過速度(km/h)
1 ライコネン 181.5
8 アロンソ 177.6 +3.9
14 バンドーン 174.5 +7.0
■セクター3タイム
1 ライコネン 27.315秒
12 アロンソ 28.166秒 +0.851秒
17 バンドーン 28.480秒 +1.165秒
セクター3の計測ポイントは、最後の直角コーナーを立ち上がった直後にあるフィニッシュラインだ。そのため通過速度は最も低く、シャシー性能によるトラクションのかかり具合、低速での馬力が見えやすくなる。
ここでアロンソはトップのキミ・ライコネン(フェラーリ)から3.9km/h遅い8番手、バンドーンはアロンソより3.1km/h遅い14番手で通過していた。
低速コーナーが多いため、トップとのタイム差は他のセクターよりも小さくなっていることから、セッティングの仕上がりはまずまずのようだ。
■分析
これらの各セクター通過速度からわかるのは、マクラーレン・ホンダは、セクター1やセクター2のように直線が長くなればなるほど1位との速度差が開いているということ。セクター3ではタイム差が縮まっているのがわかる。アロンソが言うように、「直線で2〜3秒のタイムロス」はありそうだ。
そして、アロンソはチームメートのバンドーンと比較しても、どの計測ポイントでもアロンソの通過速度は上回っており、セクタータイムを見ても全セクターで上回っている。これもアロンソが「自分のレベルは過去最高だ」と言い切るのもよくわかる。
これまでのアロンソの発言、アロンソを讃えるマクラーレンとホンダの発言、そしてこれらデータを見てみると、ホンダF1のパワーユニットの力不足、アロンソの力によりタイムを稼いでいることがはっきり見えてくる。