最近の報道によれば、メルセデスAMGの2017年のドライバーラインアップはルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタス(現ウィリアムズ)となることがほぼ確定的な状況のようだ。
そして、今季限りでのF1引退発表を行っていたフェリペ・マッサが、ボッタスを失うウィリアムズでもう1年走ることで合意したとも報じられている。
■ウェーレインのメルセデスAMG昇格はほぼ消滅
一時は、今季限りで突然F1引退を表明したニコ・ロズベルグの後任には、2016年にマノーからF1デビューを飾ったメルセデス所属ドライバーのパスカル・ウェーレインが指名されるのではないかと言われていたが、どうやらそのチャンスは失われてしまったようだ。
メルセデスの秘蔵っ子とも呼ばれていたウェーレインは、2015年にはメルセデスAMGの控えドライバーを務めつつ、史上最年少でDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)チャンピオンに輝くなど、将来のF1チャンピオン候補だと言われている。
それだけのドライバーであれば、メルセデスAMGもわざわざほかのチームからドライバーを引き抜かなくとも、ウェーレインにメルセデスAMGの2017年型車のコックピットに座るチャンスを与えてもよさそうなものだ。
■ウェーレインにトップチームのシートはまだ早い?
こうした状況に関し、トロロッソのチーム代表を務めるフランツ・トストは、地元オーストリアの『Tiroler Tageszeitung(チロラー・ターゲスツァイトゥング)』に次のように語った。
「彼ら(メルセデスAMG)は非常に厳しい状況に置かれていた」
「彼らは圧倒的に支配したものの、突然F1チャンピオンを失ってしまった。そして、それが明らかになったのがあまりにも遅すぎて、ほかのトップドライバーを後任に据えることはできなかった。彼らはもう(他チームとの)契約してしまっているからね」
そう語ったトストだが、もし自分だったら22歳のウェーレインにシートを与えるかと尋ねられると、次のように続けた。
「パスカルは素晴らしい控えドライバーだよ。だが、今我々が話をしているのはチャンピオンチームのことだ」
「パスカルも勝利を目指して戦えるかもしれない。だが、今はまだあまりにも早すぎるよ。私はこれまでも常に言ってきたが、ドライバーがF1に慣れ親しむには3年はかかるものなんだ」
「もちろん、ハミルトンとウェーレインというのは彼ら(メルセデスAMG)にとっては最も簡単な選択肢だ。だが、彼らはコンストラクターズタイトルを取るために戦っているわけだし、それには大金もかかわってくるからね」
そう述べたトストは、次のように付け加えた。
「それに、ドライバー構成がチームの安定性に悪い影響を及ぼさないかどうかもはっきりとはしないしね」
■ウェーレインの昇格を望まないハミルトン
事実、ドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』は、過去3度F1王者となったハミルトンは、2017年のチームメートにウェーレインを据えることを好ましく思っていないようだと書いている。
『Auto Bild(アウト・ビルト)』によれば、すでに定評を得ているF1チャンピオンとルーキードライバーを組ませるのは、チームにとってあまりいい結果をもたらさないことが多いとハミルトンが主張したという。
2007年にマクラーレンでF1デビューを飾ったハミルトンだが、その年に2度のF1チャンピオンの称号を引っ提げてマクラーレンに移籍してきたフェルナンド・アロンソとの間に強い確執が生まれたことはよく知られていることだ。
■ドライバー同士の衝突を避けたいメルセデス
メルセデスAMGのトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)もそのことを懸念しているのは確かなようだ。
「ルイスとパスカルは一触即発のコンビになりかねない」
『Kolner Express(ケルナー・エクスプレス)』にそう語ったヴォルフは、次のように付け加えた。
「私が避けたいと思っているのは、アロンソとハミルトンのようなシナリオになってしまうことだ」