元F1ドライバーのアラン・プロストが、現在緊迫した状況となっているメルセデスAMGのルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグの関係を、かつて激しいライバル関係にあったアイルトン・セナと自分のことになぞらえた。
■原則としてチームオーダーは出さないメルセデスAMG
メルセデスAMGでは、今季のF1第9戦オーストリアGPでまたもチームメート同士のクラッシュが発生したことで、ハミルトンとロズベルグに対して、今後同様のことが起きればなんらかの処罰を下すことを決めたようだと伝えられている。
そもそもメルセデスAMGでは、2人のドライバーを自由に戦わせるという基本方針を持っており、今回もうわさに上っていたチームオーダーを発令するのではなく、処罰を導入することで同士打ちを抑制しようという狙いのようだ。
それがどういう処罰なのかは明らかとなっていないが、ライバルチームに足をすくわれないようにするためにメルセデスAMGとしても苦肉の策を講じたというところだろうか。
■最終的にはメルセデスAMGもチームオーダーを出すとプロスト
だが、4度F1王座についた経験を持つプロストは、メルセデスAMGも最終的には2016年シーズン中にチームオーダーを導入することになるだろうと見ている。
プロストは、母国フランスの日刊スポーツ紙である『L’Equipe(レキップ)』に次のように語った。
「最後に2レースか3レースを残すのみとなったときには、トト・ヴォルフ(メルセデスAMG/ビジネス担当エグゼクティブディレクター)が指示を出すことになるだろうし、それは受け入れられるべきだ。もちろん、残念なことではあるがね」
「私でも同じことをするだろう」
■セナとの間にチームオーダーはなかった
かつてマクラーレン時代にチームメートだったセナとの間に強い確執が生まれたことで知られるプロストは、さらに次のように続けた。
「チーム内では、常に2人のうち1人のドライバーが、自分のほうが優位な立場に置かれたいと望むものだ。だが、私の考えとしては、その問題は彼ら自身で解決させるべきだ」
「私とアイルトン・セナはそうしたんだ。その後、我々の関係は悪化したがね」
セナとは、マクラーレン・ホンダでのチームメート同士であった1989年、そして自身がフェラーリへ移籍した1990年に、日本GP決勝で2年連続でお互いにクラッシュして王座のゆくえを決定づけたエピソードを持つプロストは、次のように締めくくっている。
「だが、私としては、彼ら(ハミルトンとロズベルグ)がトップの位置にいる限り、チームオーダーは必要ないと思っているよ」