最近、イタリアの日刊スポーツ紙である『Tuttosport(トゥットスポルト)』が、フェラーリは今季型車の開発に見切りをつけ、2017年に向けて全力を傾注すべきときにきているとの主張を展開した。
●【結果】F1ヨーロッパGP決勝の順位、タイム差、周回数、ピット回数
■F1タイトル獲得の望みが遠のくフェラーリ
先週末にアゼルバイジャンの首都バクーで初開催されたF1ヨーロッパGPでは、開幕4連勝を遂げていたランキングリーダーのニコ・ロズベルグが4レースぶりに優勝を飾り、ディフェンディングチャンピオンであるチームメートのルイス・ハミルトンとの差をまた24ポイントに開いた。
メルセデスAMG勢が同士打ちで姿を消してしまった第5戦スペインGPではレッドブルの新鋭マックス・フェルスタッペンが優勝を飾ったものの、それ以外のレースでは今季まだメルセデスAMGとして優勝を逃したことはない。
一方、開幕前にはメルセデスAMG最大のライバルとなると目されていたフェラーリだが、今季はまだ勝ち星がないどころかランキング3番手につけているセバスチャン・ベッテルもすでにこの時点でトップのロズベルグに45ポイントもの差をつけられてしまっている。
それでも、フェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネはまだ今季のタイトル獲得を狙っていくし、その可能性はあると先週末のバクーで語っていた。
■もう2017年に向けた開発にシフトすべきとの声も
だが、『Tuttosport(トゥットスポルト)』は、現状をかんがみれば、大きく技術ルールが変わる2017年に向けた開発にシフトする方が賢明だろうと次のように主張している。
「今季もメルセデスAMGがあまりにも強すぎる」
「時には彼らも弱点をさらけだすことがあるものの、レッドブルやマクラーレンのようなチームが早めに来年に向けたプロジェクトにとりかかることを選択するのは自然なことだ」
■基本的なやり方を変えるべきだとブリアトーレ
だが、かつてベネトンやルノーを率いていたフラビオ・ブリアトーレは、フェラーリがもしまたF1タイトルを獲得したいと考えているのであれば、現在の取り組み方を基本的に見直すべきだと主張している。
最近、2014年シーズン後半からフェラーリの会長としてチーム運営に携わり始めたばかりのマルキオンネが2016年にタイトル獲得を目標に据えるという「新人が犯す典型的なミス」を犯していたと語ったことが報じられていたブリアトーレは、イタリア放送協会に対して次のように語った。
「タイトルは宣言したからといって取れるものではなく、メルセデスAMGがやったような取り組み方をする必要があるんだ」
「メルセデスAMGのアドバンテージはものすごく大きいし、フェラーリは幸運だったんだ。ハミルトンがスイッチ(バクーで起きたエンジンセッティングトラブル)に問題を抱えていたんだからね。そうでなければ彼は問題なく2位になっていただろう。それに、私はロズベルグもアクセル全開で走っていたわけではないと思っているよ」
「フェラーリは今では2番手の位置を失わないように気をつける必要がある。バクーではペレス(フォース・インディア)がすごく速かったし、レッドブルだって強いからね」
「昨年から何も変わっていないんだ。メルセデスAMGとフェラーリの間にはまだ1秒以上の差があるよ」
■ブリアトーレが導いた答えは“国際化”
最近、フェラーリの地元イタリアではマウリツィオ・アリバベーネが近いうちにフェラーリ代表の座を追われるのではないかとのうわさもささやかれている。だが、ブリアトーレはそんなことをしても何も変わるわけではないと次のように続けた。
「そうではなく、彼らはもっと国政的になるべきだよ。マラネロ(フェラーリ本部があるイタリア北部の町)はイギリスから来た人間がそこにずっと住みたいと思うところではない。だから私はあそこ(イギリス)に技術部門を開設するよう助言したいんだ」
「F1では奇跡のようなことが起きないということは分かっている。イギリスには60km圏内に10チームがひしめきあっている。ドイツのチームであるメルセデスAMGでさえあそこにいるんだ」
そう主張したブリアトーレは、次のように付け加えた。
「シャンパンを作りたいと思ったらフランスにいない方がいいのさ」