現時点でランキングトップに立っているニコ・ロズベルグだが、所属するメルセデスAMGとの契約が今季で満了となることから、今後の契約交渉の動向に注目が集まっている。
そんな中、メルセデスの親会社ダイムラーのディーター・ツェッチェ会長が、スイスの『Blick(ブリック)』紙に対し「パスカル(ウェーレイン)が我々の未来だ」と語ったと報じられている。
■メルセデスAMG首脳陣の発言の真意は?
ウェーレインは、メルセデス所属ドライバーであり、今季パワーユニットを供給する顧客チームのマノーからF1デビューを飾った21歳のルーキーだ。だが、昨年はDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)で史上最年少チャンピオンに輝く活躍を見せており、メルセデスAMGのトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)もほんの1週間前に将来は自分たちのチームを担う存在となるだろうと語っていた。
メルセデスAMGでは来季もロズベルグとの契約を更新することを希望していると言われているものの、ロズベルグ側がF1有数の高額契約を結んでいるチームメートのルイス・ハミルトンと同等の条件を希望していると考えられており、ロズベルグとの交渉は一筋縄ではいかないとも見られている。
そうした状況の中でヴォルフとツェッチェが相次いでウェーレインの名前を口にしたことは、ロズベルグとの交渉に向けた駆け引きではないかとも考えられている。
■交渉は「いい方向」に向かっているとベルガー
ロズベルグと元F1チャンピオンである父親のケケは、元F1ドライバーである友人のゲルハルト・ベルガーにメルセデスAMGとの契約交渉を委託している。
ベルガーは、そのロズベルグの契約交渉に関して次のように語った。
「交渉においては大きな戦略的な動きをすることはないよ。ニコは一緒にやっているメルセデスファミリーに感謝しているし、最高のクルマがあることも分かっているからね」
「一方、メルセデスAMGも今選手権をリードしているニコがどういう力を持っているかも分かっているよ」
ベルガーはドイツのテレビ局『Sky(スカイ)』に対し、現在のところ交渉が「いい方向へ進んでいる」と確信しており、もしそれに変化が生じるようなことがあればそのときになって初めてほかの選択肢を探し始めることになるだろうと語り、次のように付け加えた。
「だが、それがはっきりするのはまだかなり先のことだよ」
ベルガーはさらに、現在ささやかれているフェラーリやマクラーレンへの移籍のうわさは「単なる憶測に過ぎない」とも付け加えている。
■ベルガーはうってつけの交渉人だとラウダ
メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは、同郷のオーストリア出身であるベルガーのことをよく知っている人物だ。そのラウダは、ロズベルグが交渉代理人として56歳のベルガーを指名したのはいいことだと考えている。
「ゲルハルトは自分がやるべきことを分かっているからね。彼はレーシングドライバーだったが、自分自身で交渉を行っていたんだ。(F1を)分かっていない外部のマネジャーとは違うよ」
そう語ったラウダは、次のように付け加えた。
「彼はすでにトトとの間で比較的早めに結論を出すべきだということに合意しているはずだよ。そうすればニコも落ち着いてレースで勝つことに集中できるからね」