1991年F1スペインGPは、これまでのヘレスからカタルーニャサーキットに舞台を移して開催された初めての年となった。1992年のバルセロナオリンピックに合わせての開催だ。
このスペインGPは、アイルトン・セナ(マクラーレン・ホンダ)にとって3度目のチャンピオンがかかった大事な一戦だった。王座争いをするのはナイジェル・マンセル。
■22歳の若きシューマッハ、元世界王者ピケを上回る
F1ベルギーGPでジョーダン・フォードからF1デビューした22歳のミハエル・シューマッハは、いきなり予選7番手を獲得し世界を驚かせた。
シューマッハにとって2戦目となったF1イタリアGPは、ロベルト・モレノとトレードする形でベネトン・フォードへ電撃移籍。ベネトンでのチームメートは元F1チャンピオンのネルソン・ピケにも関わらず、予選・決勝ともにピケを上回った。3戦目となるポルトガルGPと4戦目スペインGPの予選でもピケを上回っている。ピケはこの年を最後にF1を引退した。
■予選5番手から王者たちと戦うシューマッハ
ポールポジションを獲得したのは、ゲルハルト・ベルガー(マクラーレン・ホンダ)、2番手はナイジェル・マンセル(ウィリアムズ・ルノー)、予選3番手はセナ、4番手にはリカルド・パトレーゼ(ウィリアムズ・ルノー)、シューマッハは5番手につけた。6番手アラン・プロスト(フェラーリ)を抑えての予選結果だ。チームメートのピケが予選10番手という結果からも、シューマッハの速さが際立っていた。
■レースでは、チャンピオンを争うマンセルとセナに襲いかかる
オンボードカメラ映像を観て頂くと分かるが、非常にスリッピーな路面状況で、アクセルも丁寧に開けている。スタート直後でタイヤも冷えている中、シューマッハはセナとバトルをしていたマンセルのインをつき一発で仕留める。まだF1デビュー4戦目とは思えない卓越したテクニックと精神力だ。
その後、トップを走行するマクラーレン・ホンダの2台に迫る。目の前はアイルトン・セナだ。シューマッハはオープニングラップの後半セクションでセナに並ぶが、セナも譲らない。白熱のバトルだ。
1991年という世界チャンピオンが競い合う時代に彗星のごとく現れた若き天才。シューマッハの伝説が始まった年だった。
■【動画】Classic onboard: Michael Schumacher, Spain 1991(2:07)[F1.comへ]