2012年までメルセデスのモータースポーツ責任者を務めていたノルベルト・ハウグが、マノーがパスカル・ヴェアラインと2016年シーズンの契約を結んだのは賢い選択だったと語った。
今週、メルセデスは2015年にDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)で最年少チャンピオンに輝いたヴェアラインが、2016年にはマノーからF1デビューを飾ることとなり、DTMを卒業することになったと発表した。
マノーのシート確保にあたっては、メルセデスがマノーに対して予算面での協力を行うことは明らかだ。だが、その額は昨年マノー・マルシャでドライブしていたアレキサンダー・ロッシやウィル・スティーブンス、あるいはインドネシア政府の支援を受けるリオ・ハリアントといったライバルたちが提示している額よりかなり少なかったと考えられている。
■マノーはいい投資をした
だが、ハウグは今回のマノーの決断は正しかったと『motorsport-magazin.com』に次のように語った。
「パスカル・ヴェアラインは、マノーにとってかなりいい投資だよ。大金を持ち込むペイドライバーと呼ばれる者たちよりもね」
「彼は1ポイント、あるいはそれ以上のポイントを獲得してみせるはずだし、それは何千万(ドル)もの価値を持つことになる」
■マノーでのF1デビューはヴェアラインにとっても好条件
ハウグはさらに、マノーという最後尾が定番のチームからF1デビューすることはヴェアラインにとってもいいことだと考えている。最初からあまり大きなプレッシャーを抱えることなく、F1のことを学ぶことができるからだ。
メルセデスの秘蔵っ子とも呼ばれる21歳のヴェアラインだが、次のステップはメルセデスのワークスチームであるメルセデスAMGへの昇格だろう。
「もしメルセデスがパスカルがファクトリーチームに行くにふさわしい潜在能力を持っていると信じていなければ、彼が控えドライバーに指名されることはなかっただろうし、DTMのチャンピオンをわざわざマノー・マルシャからF1デビューさせることもなかっただろう」
かつてメルセデスのモータースポーツ責任者として多くの才能あるドライバーを見てきたハウグはそう語ると、次のように付け加えた。
「だが、そうだからといって、今の2人のレースドライバーたち(ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグ)のどちらかがヴェアラインと交代させられるのではないかと考えるのは間違いだと思うよ」
■今は経験を積むことが第一だとヴェアライン
一方、ヴェアライン本人も、いつかはメルセデスAMGのシートに座りたいと考えていることを隠そうとはしていない。
「もちろん、そうしたいよ」
『Kolner Express(ケルナー・エクスプレス)』にそう語ったヴェアラインは、次のように続けた。
「だけど、今のメルセデスAMGは、すべてのレースで勝利してF1タイトルを獲得するという野心を抱いている状況だと思うんだ。つまり、ルーキーを乗せる余裕なんてないよね。だから、今の僕にとって非常に重要なのは、経験を積むということさ」