今季限りでレーシングドライバーを引退することを明らかとしていた元F1ドライバーのアレックス・ブルツが、今年まで所属していたWEC(世界耐久選手権)のトヨタチームのアドバイザー兼アンバサダーに就任したことが明らかとなった。
オーストリア出身のブルツには最近マノー・マルシャのチーム代表に就任するのではないかとのうわさもささやかれていたが、本人がこれを否定していた。
1997年に負傷したゲルハルト・ベルガーの代役としてベネトンからF1デビューを飾ったブルツは、その後マクラーレンやウィリアムズから合計69戦に出走。優勝はなかったがF1キャリアを通じて3度表彰台に立っている。
2012年からWECの最高峰カテゴリーであるLMP1にトヨタチームの一員として参戦。トヨタがWECで初めてポールポジションを獲得すると同時に初優勝を飾ったサンパウロ6時間レースの立役者となるとともに、2014年のFIA世界耐久選手権マニュファクチャラーズタイトル獲得にも大きく貢献していた。
現在41歳となったブルツは、GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション/安全問題などを協議するF1ドライバーによる任意組織)の会長として現在もF1とかかわっているが、今後はこれに加えトヨタのWEC活動を支えていくことになる。
TOYOTA GAZOO Racingが発表した声明によれば、ブルツは2016年から同チームのアドバイザーとして、ドライバーやチームのサポート役に回り、トヨタのWEC用ハイブリッド技術開発の支援にも携わることになるという。
ブルツは同声明の中で次のように語っている。
「私のレーシングドライバーとしてのキャリアの終わりが、私とモータースポーツの関係の終わりではないことを日ごろから願っていたので、トヨタと新しいスタートを切ることができるのはとてもうれしいことです。このプロジェクトの最初からずっと一緒にやって来て多くの経験がありますから、チームの将来へと携われることでわくわくしています。2016年の新型車両で、WECは、さらに競争激化していくでしょう。我々が再び先頭集団で戦えるよう、やるべきことはたくさんあるので胸が高鳴ります」