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FIA、ウィルソンの事故死を受け頭部保護パーツテストを再開

2015年08月26日(水)18:01 pm

F1で、ドライバーの頭部保護のための新レギュレーション導入に向けた動きが一気に加速するかもしれない。

先週末の23日(日)にアメリカで行われたインディカーでのレース中に起きた事故で、元F1ドライバーのジャスティン・ウィルソンが死亡する事故が発生。クラッシュした先行車のパーツが頭部を直撃したことが致命傷となったものだった。

■ドライバーの頭部保護はフォーミュラカー長年の課題

昨年のF1日本GP決勝でコース脇の作業車の下に潜り込むように激突したジュール・ビアンキ(当時マルシャ)が今年7月に死亡したこともまだ記憶に新しいが、フォーミュラカーにとって、むき出しとなっているドライバーの頭部をどうやって保護するのかということは長期にわたる課題となっている。

2009年のハンガリーGPでは、当時フェラーリのドライバーだったフェリペ・マッサ(現ウィリアムズ)が予選中に前を走行していたクルマから落ちたスプリングを頭部に受け、そのシーズン後半を棒に振る大けがを負うという事故が発生。

同じ2009年には、元F1チャンピオンのジョン・サーティースの息子ヘンリーが、ブランズハッチで行われたF2選手権第4戦の第2レース中に、クラッシュした他車のクルマからはずれたタイヤが頭部を直撃。ヘンリーは18歳の若さでこの世を去っている。

また、2012年には女性ドライバーのマリア・デ・ビロタがイギリスの空港でマルシャのF1カーをテスト中に、やはりコース脇の作業車に激突。この事故で右目を失ったデ・ビロタだが、翌2013年にこの事故の後遺症により死亡している。

このデ・ビロタの事故後にも、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)がキャノピーの衝撃テストなどを行った経緯がある。だが、結局その実用化は見送られていた。

■新テストはメルセデスAMG考案の楕円形パーツか

今回のウィルソンの死亡事故を受け、FIAでは、あらためてF1カーのコックピット部を覆うドライバー保護対策の検討を開始したと伝えられている。

今回、具体的に導入が検討されるのは、コックピット全体を覆うジェット戦闘機型のキャノピーではなく、今年に入ってメルセデスAMGが発案したドライバーの頭部周囲を囲む楕円(だえん)形の保護パーツとなるようだ。

『Times(タイムズ)』のケビン・イーソン記者によれば、「F1調査委員会が来月(9月)にも新たなコックピット保護装置のテストを行うことになる」という。

さらに、スペインの『Marca(マルカ)』も次のように伝えている。

「昨日会議が催され、ウィルソンの件が議題に取り上げられた。9月に新たなテストを行うことで合意がなされた」

FIAのF1競技委員長を務めるチャーリー・ホワイティングは、『Reuters(ロイター通信)』に次のように語った。

「我々は努力を続けなくてはならない。すべての状況において100%ドライバーを守ることは難しいにせよ、何らかの手を打つ必要がある」

フォーミュラカーにキャノピーやそれに準ずる保護設備を施すことに関しては、その効果などについて懐疑的な意見があるのも確かだ。

■カバーの必要性を訴えるチルトン

だが、昨年までマルシャでビアンキのチームメートとしてF1で戦い、今年はアメリカのインディライツ(インディカーの下位カテゴリー)に戦いの場を移したマックス・チルトンは、イギリスの『Sky(スカイ)』に対し、「間違いなくそういう方向性を検討すべきだと思う」と語り、次のように続けた。

「それには5年かかるかもしれないし、10年かかるかもしれない。だけど、最終的にはカバーが付けられることになると保証してもいいよ」

イギリスでジュニアフォーミュラカテゴリーを中心に活躍するカーリン・モータースポーツのオーナーであるトレバー・カーリンも、次のように主張している。

「もし効果的な対策があるのなら、我々はその実現を目指すべきだし、真剣な思いを持ってすぐに取り組むべきだよ」

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