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ビアンキの死をきっかけに再びクローズアップされるF1の安全問題

2015年07月20日(月)19:13 pm

ジュール・ビアンキの死をきっかけに、F1の安全性に関する議論が再びメディアをにぎわせる状況となっている。

昨年のF1日本GP決勝でのクラッシュから9か月に及ぶこん睡状態を経て死亡したビアンキだが、F1レース中の事故が原因で死亡したのは1994年のサンマリノGPで起きたローランド・ラッツェンバーガー(シムテック)と、アイルトン・セナ(ウィリアムズ)以来21年ぶりのこととなる。

今回のビアンキの死によって、あらためてモータースポーツの危険性がクローズアップされることとなっているが、一方では現在のF1が「安全過ぎる」ことによってレースのだいご味が薄れているのではないかとの指摘もある。

しかし、悲しみに暮れるビアンキの家族は、以前からそのクラッシュ当時の状況については批判的なコメントを行ってきている。そして、今後法的措置に出る可能性も否定していない。

■21年間死亡事故がなかったことが奇跡

現役時代にはニュルブルクリンクでひん死の重傷を負う事故を経験したニキ・ラウダ(現メルセデスAMG会長)は、ビアンキの悲報を受けて次のように語った。

「この悲しい知らせの中で、我々は最も重要なことを忘れてはならない」

「これは奇跡なんだ。もう一度強調するが、過去21年間にわたってこういうことが起きなかったというのは奇跡なんだ」

「これまで安全性向上のために多くの手が打たれたことは分かっている。だが、結局のところ、20台のクルマが最大時速340kmほどのスピードで走り回るんだからね」とラウダは付け加えた。

■レースコントロールのミスを指摘するプロスト

かつて4度F1タイトルを獲得したアラン・プロストは、フランスのデジタルテレビ局である『I-Tele(イ・テレ)』に対し、F1は昨年10月に鈴鹿サーキットで起こった事故から学ぶべきだと次のように語った。

「あの事故の後で語ったことをもう一度言おう。私は自分の意見を変えていないからね」

「我々はこの悲劇的結果に関して、あの状況においていくつかの小さな計算違いがあったのだということについて話をする必要があると思っている」

「雨が降りしきり、非常に視界が悪い状態で起こった事故について話しているんだ。あのときは、コースにあの作業車を入れる前にセーフティカーを導入してレースをコントロールすることが必要だった」

「それがミスだったんだ」とプロストは付け加えている。

■もっと落ち着いてから議論すべきだ

だが、統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が行った事故調査の結果、黄旗が振動されていたにもかかわらず、ビアンキがスピードを出し過ぎていたことも判明していた。

ビアンキやプロストと同じフランス出身の元F1ドライバーであるパトリック・タンベイは、フランスのラジオ局『RMC』に次のように語った。

「事故の状況に関する疑問については、今の感情的な状況が一段落してからあらためて検討すべきだろう」

「だが、F1とはこういうものなんだ。ドライバーたちは可能な限り速く走ろうとするし、それが彼らの遺伝子に組み込まれているんだ。タイミングが悪かったし、いくつかのミスが重なったということだ」

「だが、今そのことを議論しても無駄なんだ。今日は彼(ビアンキ)に思いをはせ、我々が失ったもののことだけを考えたいね」

■新ハイスピードカメラ導入を計画するF1

一方、ドイツの『Bild(ビルト)』と『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、今回のビアンキを死に至らしめた事故をきっかけに、近い将来、F1カーに新たなハイスピードカメラが装着されることになるだろうと伝えている。

その新カメラは現在イタリアのマニエッティ・マネリ社によって開発が進められているもので、iPhoneの半分ほどのサイズとなり、ドライバーの頭部へどのような形で衝撃が加わったかをかつてないほどのスローモーションで記録することができるようになるという。

さらに、ドイツの『Die Welt(ディー・ヴェルト)』は、ビアンキのクラッシュを映した公式映像は、FIAによって「永久に非公開」のままとなるだろうと報じている。

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