2016年から新規F1参入を目指すアメリカのジーン・ハースが、経営破たんに陥ったマルシャの救済に動いているのではないかとうわさされている。
アメリカで共働オーナーとしてNASCARに参戦しているハースは、その参戦準備の一環として、すでにオークションに出されていたマルシャのファクトリーや資材を購入したようだとうわさされていた。
そのうわさでは、ハースはイギリスのバンベリーにあるマルシャ本部施設を、アメリカのノースカロライナにある本部のサテライト拠点として利用するつもりで購入したのだと言われていた。
だが、このほど『Speedweek(スピードウィーク)』が報じたところによれば、2015年シーズンに向けてマルシャの救済を検討している謎の投資家というのが62歳となるハースではないかとのうわさがささやかれているという。
■マルシャが謎の投資家と交渉に入っているのは事実
マルシャの清算手続きに当たっている管財人は、21日(水)に予定していたマルシャのオークションを延期することを19日(月)に認めていた。本来であればその日には、2014年型車や、レースに使用する機材など、チームが存続するためには絶対的に不可欠な資産がオークションにかけられる予定になっていた。
管財人は、今回のオークションの延期決定は「第三者との交渉を継続できるようにするため」であることを認めている。
マルシャの管財人を派遣している債務処理コンサルタント会社のFRPは、「機密を保持するという条件のもとに交渉が行われているため、これ以上のことは言えない」と付け加えている。
■ハースのマルシャ買収にはメリットも多いとの見方
だが、『Speedweek(スピードウィーク)』は、ハースがマルシャに投資することには複数のメリットがあると主張している。
ひとつには、F1での仕事を続けたいと考えており、経験も持っているマルシャのスタッフを雇用することも簡単になるということがある。
さらに、アブダビに輸送するための準備が整えられていたマルシャの2014年型車をそのまま2015年の開幕戦オーストラリアGP(3月15日決勝)が開催されるメルボルンへと送り込み、2015年シーズンを通じてグリッドの後方で貴重な経験を積むこともできるわけだ。
そして、一番のメリットとして考えられることが、マルシャには多額の負債もあるものの、メルボルンでの開幕戦のグリッドにマルシャのクルマを並べることができれば、5,000万ドル(約59億円)以上とされる2014年シーズンのランキング9位に対する賞金を得ることができるということだ。
そして、『Speedweek(スピードウィーク)』は、ハースがすでにマルシャの2015年型車の設計に関する知的財産権も取得しているのではないかとのうわさも紹介している。
■フェラーリもハースによるマルシャ買収を歓迎か
一方、フェラーリもハースによるマルシャ買収契約の成立を強く望んでいるかもしれない。これまでマルシャにエンジンを供給していたフェラーリも、現時点ではそのかなりの額に上る代金を不良債権として抱え込んでいる形となっている。
だが、すでに2014年からはフェラーリのスポンサーともなり、2016年からはフェラーリからエンジン供給を始め多大の支援を受けることになっているハースがマルシャの運営を引き継ぐことになれば、フェラーリにとっても大きなメリットとなるはずだ。
マルシャのチーム代表を務めていたジョン・ブースは、その匿名の投資家との交渉は「かなり進展している」と語っている。