たとえ、ケータハムやマルシャが消えたところで、F1にとっては痛くもかゆくもないだろう。
そう語ったのは、元F1ドライバーであり、現在はフォーミュラEにチームオーナー兼ドライバーとして参戦しているイタリア人ドライバーのヤルノ・トゥルーリだ。
トゥルーリ自身は1997年にイタリア籍の小規模チームだったミナルディからF1デビューを飾っていた。当時のチームメートは日本人ドライバーの片山右京だった。
だが、40歳となったトゥルーリは、あの当時と今は状況が違うと『blogf1.it』に対し、次のように語った。
「常に小規模なチームがF1にいたのは事実だ。だけど、彼らはみんないいチームだったよ」
「ミナルディを例に挙げれば、彼らは若いドライバーを登用した。でもそれは彼らが単に資金を持ち込めるからだけでなく、彼らに才能があったからなんだ」
「ほとんどのドライバーたちはそこからF1でステップアップを果たしていったよ。でも、ケータハムやマルシャのドライバーたちが同じように上に上がっていけるかどうかは疑わしいね」
ミナルディでのデビューを足掛かりに、その後ルノー、トヨタと活躍の場を広げてきた実績を持つトゥルーリは、さらに次のように続けた。
「F1が犯した大きな間違いは、マニュファクチャラー(チーム)をないがしろにしていることだ。それによって、僕自身がそこで過ごす栄誉を与えられていた黄金期が終わりを告げてしまったんだ」
「今日では、状況は完全に違っている。2、3の本当のチームと、生き残るのが精一杯のその他大勢の小規模チームとで成り立っている」
F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)会長のジャン・トッドは、仮にケータハムとマルシャの2チームが減ったとしても、2015年には18台のF1カーが走ればそれで十分だと語っている。
トッドはイタリアの『Autosprint(オートスプリント)』誌に次のように述べた。
「2016年には新しいチームも参入する。だから、最悪の場合2015年には18台しかいないだろうが、次のシーズンにはまた20台になるよ」
トゥルーリも、財政難に苦しむ小規模チームが消えたとしても、しばらくの間はF1も持ちこたえるだろうと次のように付け加えている。
「バーニー・エクレストン(F1最高責任者)がいくつかのチームはただ混乱しているだけだと言ったけれど、残念ながら、あれは正しかったよ。彼らはF1に何の貢献もできていない」