F1最高責任者であるバーニー・エクレストンは、今後ドイツでのF1開催を長期的に安定したものとするため、ホッケンハイムとの契約打ち切りを考えているようだ。
■これまで2つのサーキットで交互開催されていたドイツGP
今年は、来月に予定されているF1ドイツGP(7月20日決勝)の開催サーキットとなるホッケンハイムリンクだが、ここ数年はもうひとつの有名なサーキットであるニュルブルクリンクと隔年で交互にドイツGPを開催してきていた。
だが、今週になって、2012年に破産したニュルブルクリンクを買収し新オーナーとなったデュッセルドルフの自動車産業グループであるカプリコーンが、2015年から2019年まで毎年ドイツGPをニュルブルクリンクで開催するという契約をもうすぐ結ぶということが明らかになった。
カプリコーンも17日(火)に声明を発表し、その交渉が進められていることを認めている。
■今回のニュースには驚いたとホッケンハイム
「こういうプレスリリースを出すなど、言語道断だ」
そう怒りの声をあげたのはホッケンハイムリンクの責任者であるゲオルク・セイラーだ。セイラーは『SID通信』に次のように続けた。
「F1には、まだ交渉中にはプレスリリースを出さないという暗黙の了解があるんだ。これはけしからんことだ」
ホッケンハイムリンクの現在の契約では、今年のレース以後は2016年と2018年にドイツGPを開催することになっている。
セイラーは、エクレストンについて言及し、「彼は(契約を)打ち切ろうとなどしないだろうし、そんなことはできないよ」と付け加えた。
さらに、セイラーは『DPA通信』にも次のように語っている。
「エクレストン氏が、公正で、よきパートナーであることは分かっている。だが、実際のところ、私は今回のニュースには驚かされた」
■ニュルブルクリンクとの交渉を認めたF1ボス
だが、エクレストンはこれに関してドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に、ニュルブルクリンクとの間に毎年開催の新契約を交わすことにより、ホッケンハイムとの契約は打ち切られることになるだろうと語っている。
「カプリコーンの人たちとは会ったよ」
そう認めたエクレストンは次のように続けた。
「問題は、彼らがほかのヨーロッパでのレースと同じくらいの売り上げをあげなくてはならないということだ」
「ニュルブルクリンクはスパ(ベルギーGPが開催されるスパ・フランコルシャン)の近くにあるから、私はベルギーと同等の条件を彼ら(カプリコーン)に提示したよ」とエクレストンは付け加えた。
ベルギーGPを開催するスパ・フランコルシャンでは、開催権料を安く抑えてもらう代わりに、売上金をF1に渡すという条件での契約が取り交わされていると言われている。
■ホッケンハイムとの契約打ち切りを示唆
さらにエクレストンは続けた。
「私はホッケンハイムと敵対するつもりはない。だが、彼らが我々の要求に応えられるようには見えないんだ」
「彼らを助けるために、我々は特別な条件で契約を行った。だが、今後もずっとこのままというわけにはいかないよ」
エクレストンは次のように締めくくっている。
「もし我々がニュルブルクリンクと新たな長期契約を締結することになれば、現在の契約を打ち切り、2015年からすぐに新しい契約に移行するのが最善の策だろうね」