今季ここまでセバスチャン・ベッテル(レッドブル)がその実力を発揮できていないのは、これまで4年連続でF1タイトルを獲得してきた「疲れ」の現れかもしれないと元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーが語った。
かつてフェラーリやマクラーレンで活躍したベルガーだが、ベッテルのことをよく知っている人物でもある。2007年にBMWザウバーから負傷欠場のロバート・クビサの代役としてF1デビューを飾ったベッテルは翌2008年にはトロロッソからフル参戦を果たしているが、そのときのトロロッソの共同オーナーだったのがベルガーだ。
ベッテルは、今年も4年連続で前年度のF1チャンピオンであることを意味するカーナンバー1が付けられたクルマで戦っている。だが、ここまでは苦戦が続き、今年からレッドブルに加わった元トロロッソのダニエル・リカルドにも先行を許している状態だ。
オーストリア出身のベルガーは、『APA通信』に対して次のように語った。
「リカルドにはおめでとうと言うべきだね。彼は素晴らしい仕事をしているよ。それに最初から常に一貫性を示している。こういうことは予想していなかったよ」
だが、今はそのリカルドの陰に隠れる形となっているベッテルだが、それには理由があるとベルガーは続けた。
「ベッテルが4回もF1タイトルを取ったことを忘れてはならないよ。強いプレッシャーを抱えながら4回もタイトルを取れば、いつかはそれによる疲れが蓄積されていたのを感じるときが来るものなんだ」
「そして、4回もタイトルを取り続けてきた人間が今年のクルマを手にしてみれば、エンジンのパフォーマンスのせいでレースに勝つことさえできないのが分かってしまう。こうした状況に対応するのはかなり大変ことだよ」
そう語ったベルガーは、次のように付け加えた。
「リカルドは表彰台に上ることができて喜んでいる。だが、ベッテルは3位なんかに興味はないんだ。彼が望んでいるのはF1タイトルを取ることだからね」