かつてBARやトヨタなどで活躍したフランス人元F1ドライバーのオリビエ・パニスが、今季からF1に導入された新たなレギュレーションは好きではないと語った。
フランスの『sport365(スポール365)』に、メルボルンで行われた2014年のF1開幕戦は不満の残るものだったかと尋ねられたパニスは、「正直に言えば、そうだね」と答えた。
現在47歳となるパニスは、かつてF1に巨大な予算が投じられ、V10エンジンの強烈な音が世界中のサーキットでこだましていた時代にF1ドライバーを務めていた。
そのパニスは、以前に比べると迫力が失われた新V6ターボの音を聞いたときには「ショックを受けた」と語り、次のように続けた。
「音もF1を構成する要素のひとつだと思っているんだ。それによってF1マシンたちのパワーを感じることができるからね」
さらにパニスは、以前のようにアクセル全開で突っ走るのではなく、クルマやドライバーがチェッカーフラッグを受けるために燃料消費を抑えながら走らなければならないというアイデアも好ましく思っていないようだ。
「かつてのF1は失われてしまった。レースというものは短距離競走であって、マラソンではないんだ。F1はいまや耐久レースに変わってしまったよ」
パニスは、F1も「環境に優しい」レースを目指す必要があるという議論についても納得できないという。
「みんなは電動自動車が未来の交通機関になると言うけれど、それが本当かどうか僕には分からない」
そう語った1996年のモナコGP優勝ドライバーのパニスは、さらに次のように続けた。
「電気自動車は、また新たな問題を生むことになる。バッテリーの廃棄問題とかね。電気がこれからの自動車の新たな燃料となるなんて信じていないんだ」
「F1が環境に優しいものであったことなどないよ。F1はパフォーマンスがすべてなんだ。だからこそ、ファンはF1を愛するんだよ」