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賛否両論が飛び交うタイヤテスト問題

2013年07月05日(金)20:55 pm

フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)とジェンソン・バトン(マクラーレン)は、シルバーストンで17日(水)から始まる予定のテストには参加したくないとの意向を表明している。

『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』には、アロンソの「参加するつもりは全然ないよ」というコメントが掲載された。

ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、3日間の予定で開催されるテスト期間中、レースドライバーが走行を担当することができるのはそのうちの1日のみで、それ以外の日程については本来の目的にそって若手ドライバーが走行することが求められるだろうと伝えている。

さらに、このテストが1日延長されて4日間の日程で行われるのではないかとの推測もあったが、それは否定されている。

しかし、アロンソはそのテストにはまったく参加したくないと、次のように続けた。

「フェラーリは僕に対して強制しなくてはならないだろうね。僕はピレリのテストドライバーじゃないんだから」

「(先週末のF1イギリスGPで)あのようなタイヤの問題が発生したサーキットで、実験用タイヤのテストをするというのは、僕からすればものすごく危険な判断だと思う」

「今シーズンはタイヤサプライヤーが最善の判断ができていないね」、と付け加えたアロンソは、仮に先週末のシルバーストンで金属製のタイヤの破片に直撃されれば、「まるで弾丸かナイフ」に襲われるようなものだっただろうと語っていた。

マクラーレンのバトンも、同様にシルバーストンでのテストに参加したいとは思わない、と次のように語った。

「一種類のタイヤだけがテストされることになっているけれど、それは僕に言わせればタイヤテストではないよ」

一方、アロンソのチームメートであるフェリペ・マッサ(フェラーリ)は、自分はテストを行いたいとブラジルの『O Estado de S.Paulo(オ・エスタード・ジ・サンパウロ)』に次のように語った。

「僕は、それは大事なことだと思う。テストには賛成だし、ドライバーにとって(そこで)経験しておくことは重要だと思うんだ」

また、ドライバーやチームは、ピレリが、シルバーストンでタイヤ破損の問題が生じたのは、低い空気圧や極端なキャンバー設定をするという習慣的なやり方によるものだと指摘したことに対する反論を行っている。

バトンもこれに関して次のように語っている。

「マクラーレンではピレリから伝えられていた基準内で正しく設定していた。それなのに、僕たちのクルマには2回もタイヤ破損が起こったんだ」

メルセデスAMGのチーム代表であるロス・ブラウンも同じことを述べていたが、さらにスペインの『Marca(マルカ)』紙は、ザウバーもピレリが示した指針に従っていたものの、タイヤに損傷が発生していたと報じている。

また、マッサは、リアタイヤが左右逆に装着されていたことも、その問題発生の説明にはならないのではないかとの見方をしている。マッサは次のように語った。

「僕はバーレーン(第4戦)で(タイヤに)問題が発生したけれど、あのときは正しく装着していたんだ」

ザウバーのエステバン・グティエレスは、「ピレリだけが責められるべきことではないし、チームだけが責められるべきでもない」と語り、さらに次のように続けた。

「お互いに非難し合うのではなく、協力し合うべきだと思うよ」

しかし、2009年のF1チャンピオンであるバトンは、今週末のF1ドイツGP(7月7日決勝)に新しいタイヤを供給するとしながら、さらにハンガリーGP(7月28日決勝)からは構造を変えた新タイヤに変更するというピレリの判断に疑問を呈している。

「もし、今度のタイヤに問題がなければ、なぜその(再びハンガリーで変更する)必要があるのか分からないよ」

また、昨シーズンまでメルセデス・ベンツのモータースポーツ責任者であったノルベルト・ハウグは、今回のタイヤ危機問題を外から見ながら、この問題解決に取り組んでいる者たちへ同情を寄せている。

『Bild(ビルト)』紙に、「近代F1は始末におえないよ」と語ったハウグは、次のように続けた。

「誰もが、自分たちに有利になることだけにしか関心がないんだ」

元F1ドライバーのミカ・サロも、母国フィンランドの放送局『MTV3』に次のように述べている。

「シルバーストンは本当に危険だった。でもあれが起こったのはルールのせいだよ。ピレリはタイヤを(その前に)交換したがっていたのに、それができなかったんだからね」

いずれにせよ、今週末のニュルブルクリンクにケブラー製ベルトによる新たなタイヤが導入されることで、チーム間の力関係が変わってしまう可能性もある。

これについては、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンも、「もしかすれば(そうなるだろう)」と認め、チームメートであり、イギリスGPの優勝者であるニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)も「そうなりそうだ」と語っている。

サロも、これに同意し、「こうした変更は常に誰かの有利に働くものだ」と述べた。

だがその一方で、アロンソは次のような言葉で締めくくっている。

「現時点では、優先すべきことは、あるチームや、そのほかのチームのパフォーマンスのことじゃない。一番重要なことは、日曜日の夜に全員が無事に自分のベッドに戻って来られることだよ」

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