元F1ドライバーであり、先週末にソチで行われたF1ロシアGPでレース競技委員を務めていたミカ・サロが、そのレースでルイス・ハミルトン(メルセデス)に与えられたペナルティーは非常に「厳しい」ものだったと認めた。
ロシアGP決勝前のレコノサンスラップ中に指定外の場所で2回スタート練習を行ったハミルトンに対し、FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)から委託されてそのレースの競技委員を務めていたサロたちは合計で10秒のタイム加算ペナルティーを科していた。
これに怒ったハミルトンはレース後にF1やFIAは意図的に自分を妨害しようとしているのだと発言、ファンの中にも今回の一件に対してSNSを通じて苦言を呈する者が多かった。
さらに、サロに関しては、そのペナルティーを正式に発表する前に母国フィンランドのテレビ局にその情報を漏らしていた疑いもあるとして批判の対象となっていた。
しかしサロは、ハミルトンへのペナルティーはあまりにも厳し過ぎるものだったという批判に対してフィンランドの『Iltalehti(イルタレティ)』に次のように語った。
「あれは明らかにルール違反だった。だから何らかの制裁を与えなくてはならなかった」
「我々もそれは厳し過ぎるとは考えたよ。しかし、我々はペナルティー表に従って対応したんだ」
だが、当初はタイム加算と同時にハミルトンには合計2ポイントのペナルティーポイントも与えられていた。これにより過去1年間の通算ポイントが10に達したハミルトンは今後のレースであと2ポイント加算されて12ポイントに到達すればその次のレースに出走できなくなるというリスクを抱えることになると考えられていた。
ところが、ソチでのペナルティーポイントはその後撤回されている。
これに関してサロは次のように語った。
「レース後に、我々にハミルトンとチームが交わした無線のやりとりが示されたのだが、それによればチームがスタート練習を行う許可を出していたことが分かったんだ」
「それはコミュニケーションの問題だったんだ。というのも、メルセデスの方はハミルトンがあれほど離れたところでスタート練習をしていいと言ったつもりではなかったからだ」
サロはまた、FIAが常にハミルトンに対してペナルティーを与えようとしているという指摘は間違いだと次のように主張している。
「競技委員は多くの情報とデータを手にしているし、それによる決定に異論をはさむ余地はないよ」
「2、3年前にはフェルスタッペン(レッドブル)にペナルティーを与えたときにオランダから殺すという脅しすら受けた。だが、それ(ペナルティー)に関しては何の疑問もなかったよ」
今回の騒動を経験したサロに関しては、今後F1競技委員を務めることはなくなるのではないかとの報道もある。
だが、これに関してサロは次のように語った。
「これは完全にボランティアとしてやっているんだ。誰かから強制されているわけじゃない」
「チームたちがこの役割を担う者として僕を選んでいるわけだし、彼らから不満の声を聞いたことなど全くないよ。そして、ドライバーたちには僕がドライバーの視点から競技委員としての判定をしているのだということを知っておいて欲しい。僕は彼らの味方なんだ」