元F1チャンピオンのジェンソン・バトンと元インディカー優勝経験者で女性ドライバーのダニカ・パトリックは、今週末に行われる2023年F1最終戦アブダビGP(26日決勝)でフェラーリがメルセデスを逆転してコンストラクターズランキング2位の座を手に入れるだろうと考えている。
●【2023F1第23戦アブダビGP】全セッションの結果・開催スケジュール
■アブダビでランキング2位を争うメルセデスとフェラーリ
今季のF1コンストラクターズ選手権はレッドブルが圧倒的な強さで昨年に続いてチャンピオンとなったが、2位争いはかなり熾烈なものとなっている。
第21戦サンパウロGPが終了した時点では2番手のメルセデスと3番手フェラーリの差は20ポイントだった。しかし、先週末に行われた第22戦ラスベガスGPでフェラーリが一気にその差を4ポイントに縮めている。
昨年はフェラーリに39ポイント差をつけられてランキング3位で終わったメルセデスとしては、なんとかその差を守りきって今年をランキング2位で終えたいところだろう。
■メルセデスは疲れ切っているとダニカ・パトリック
しかし、テレビ局『Sky Sports(スカイ・スポーツ)』でF1解説者を務めている元インディカードライバーのダニカ・パトリックは、メルセデスが2位の座を守りきることができるとは考えていないようだ。
2008年にツインリンクもてぎ(現モビリティリゾートもてぎ)で開催されたインディジャパン300でインディカー初の女性ウィナーとなったことで知られるパトリックは、ラスベガスGP決勝が終わった後、メルセデスを率いるチーム代表のトト・ヴォルフには疲れの色が見えると次のように語った。
「彼らは1年を通してかなりよくなってきました。でも、それによる成果は何も見えていません」
「トトは敗北し、苛立ち、おそらく疲れているのを感じ取ることができます」
「長い1年でしたし、誰もが疲弊しています。ですから、今の彼らは(サンパウロとラスベガスが)悪い日となってしまったことで非常に重い気分になっているに違いありません。彼らには希望の光が見えていたのですからなおのことでしょう」
実際、第20戦メキシコシティGPではルイス・ハミルトンが2位表彰台に上るなど、シーズン終盤に向けて期待がもたれていたメルセデスだが、続くサンパウロGPとラスベガスGPでは失速してしまい、ハミルトンがドライバーズランキング2位となる可能性も消えてしまっている。
■アブダビでもフェラーリが強いだろうとジェンソン・バトン
こうした中、メルセデスF1チームの母体であるブラウンGPで2009年にF1チャンピオンとなった実績を持つ現在43歳のバトンは次のように語り、アブダビでフェラーリがメルセデスを逆転してコンストラクターズランキング2位に浮上するのを見ることになるだろうと示唆している。
「アブダビも長いストレートと90度のコーナーがあるサーキットだ。(ラスベガスと)似たようなことになるだろうし、あそこでもフェラーリに競争力があるだろうね」
バトンが言うように、2022年のアブダビでもフェラーリのパフォーマンスの方がメルセデスを上回っていた。しかも、最近の調子を見る限り、メルセデスよりもフェラーリの方に勢いがあるのは確かだろう。
■2チームが同点で並べばフェラーリが2位浮上
フェラーリに必要なのは、少なくともメルセデスとの4ポイント差をゼロに縮めることだ。仮にアブダビGP決勝終了時点で両チームが同点で並んだ場合には、第16戦シンガポールGPでカルロス・サインツが優勝しているため、フェラーリが2位に浮上することになる。
さらに、もしもアブダビでメルセデスのドライバーが優勝したとしても、両チームの獲得ポイントが同点であれば、先に優勝を記録したフェラーリが2位となる。
つまり、メルセデスが今季のコンストラクターズランキング2位を確保するためには、フェラーリに1ポイント以上の差をつけてシーズンを終える必要があるということだ。