メルセデスF1のトト・ヴォルフ代表は、休養から復帰した後、ドライバー間の仲裁に忙しくなりそうだ。
●【2023F1第18戦カタールGP】決勝レース・全セッションの結果
■日本GPでも遠隔で指示
チームのボスであり、共同オーナーでもあるヴォルフは、表向きは膝の手術から回復するために、先日の日本GPから休養に入った。
しかし、何千キロも離れた場所でルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルが危うくクラッシュしそうになると、ヴォルフは自宅内に設けた遠隔ピットウォールから指示を出すことになった。
「ドライバーたちが限界を超えようとするとき、命令を下すことがある。最後は、私がその判断を下したんだ」。
日本GPの後、51歳のヴォルフは膝のリハビリをやりすぎて、カタールへのフライトは無理だと医師から告げられたという。
■カタールGPでは同士討ちもハミルトンが非を認める
そしてF1カタールGPで、ハミルトンとラッセルが第1コーナーでクラッシュするという思いもよらないことが起こった。ハミルトンはマシンのタイヤの一つが外れてしまい3輪になってリタイアしたが、ハミルトンは自らの非を認めた。
元F1ドライバーのアレックス・ブルツはオーストリアの放送局『ORF』で「トトの手の届くところに物体がなかったことを祈るよ。そうじゃないと再び膝の手術が必要になるかもしれないからね」とジョークを飛ばした。
この同士討ちの後、トト・ヴォルフがまたしても走行中に遠隔指示する無線が流された。
ラッセルは「恨みはない」と言い、メルセデスはドライバー2人が抱き合う動画を投稿し、ハミルトンは「今日はごめんね、君のせいじゃないよ」とラッセルに謝罪している。
Actions speak louder than words. pic.twitter.com/aN33QJLvtD
— Mercedes-AMG PETRONAS F1 Team (@MercedesAMGF1) October 8, 2023
■繰り返す二人にはチーム介入と叱責が必要?
しかし、元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』に次のように語った。
「今、2人の間に少しやるべきことがある。チームが介入する必要があるし、彼らはそうするだろう」と語った。
しかし、かつて激しいライバル関係だったハミルトンとニコ・ロズベルグが、互いを軽蔑し合いながらトップ争いを繰り広げていたのと比べると、まったく異なる話だ。
2016年のF1世界チャンピオンを獲得したロズベルグは、ハミルトンとラッセルのクラッシュの後、カタールで次のように語った。
「比較的一方的だったので、話し合うことはあまりないよ」
「ルイスが謝ることは滅多にないけれど、ここまで明確なことも珍しい」
「おそらくトトは彼らと話し合う必要があるだろうね。いつも最初の調停者だったニキ(ラウダ)が今いないのは残念だ」
「ニキが世界中どこにいても、ルイスと僕は彼のところに行かなければならなかったんだ。ニキはいつも仲介してくれたから、僕たちは中間で会えたんだ」
「今回の場合、ルイスに非があるのは明らかだから、トトは彼を叱責しなければならないね」。