2023年F1第9戦カナダGP(サーキット・ジル・ビルヌーブ)予選で2番手を獲得したニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)に3グリッド降格ペナルティが科せられ、フロントローは幻となってしまった。
ヒュルケンベルグはウェットコンディションでの混乱を生かして、驚きの予選2番手を獲得していた。
しかしその後、赤旗違反の可能性があるとして調査を受け、スチュワードはヒュルケンベルグに3グリッド降格を命じ、2番手から5番グリッドスタートへとグリッドを下げてしまった。
アタックを終えたばかりのヒュルケンベルグにとっては不運だったが、本来の10グリッド降格よりは緩和されて3グリッド降格、さらにペナルティポイント1も科せられて、年間累計3ポイントになった。
■スチュワードの判断とは?
スチュワードは次のような報告書を発表した。
「ドライバーは自身の最速ラップを終えたところで、さらにプッシュラップを開始していた。赤旗が提示されたとき彼はターン1にいたが、その時点ですでにデルタタイムを1.5秒オーバーしていた」
「彼はこのため、次のセクターでデルタを下回ることは極めて困難であったと主張した。また、ヘッドセットのビープ音に戸惑ったため、一時は速度が遅すぎると思ったことも認めた」
「31号車(エステバン・オコン)とテレメトリーを比較したところ、ラップの残りの部分では31号車とほぼ同じ速度であり、各ミニセクターのデルタタイムを遵守していた。我々はこれを緩和的な事情と見なす」
「しかしながら、レギュレーションは非常に明確であり、ドライバーが危険な行為や安全でない運転をしたとは言えないものの、違反があったため、ペナルティを科さなければならない。赤旗で減速しなかった場合の通常のペナルティは10グリッド降格である。しかし、緩和された状況を考慮すると、より低いペナルティが適切である」
「レギュレーションの意図は、赤旗の状況下で車がスピード違反をしていないことを確認することであり、今回のケースでスピードが過剰であったという証拠はないことに留意する。また、ドライバーはデルタシグナルの運用面をより熟知しておく必要があることにも注意する」
■角田を含む3名にもグリッド降格ペナルティ
また、他にも予選中の妨害と判断された3人のドライバーも3グリッド降格ペナルティが科せられた。
予選8番手→11番グリッド:カルロス・サインツ(フェラーリ)
予選13番手→16番グリッド:ランス・ストロール(アストンマーティン)
予選16番手→19番グリッド:角田裕毅(アルファタウリ)