新たなチーム代表として今年からイタリアの名門F1チームであるフェラーリを率いることになるフレデリック・バスールが、2023年のフェラーリエンジンが大きくパワーを向上させたという報道は正しくないと主張した。
フェラーリは14日(火)に2023年型F1マシン『SF-23』を発表し、その後すぐにシャルル・ルクレールとカルロス・サインツがフィオラノ・サーキットでシェイクダウンを行っている。
最近、イタリアのメディアの中には、今年のフェラーリF1マシンが搭載するエンジンは、昨年よりも出力が30馬力向上していると報じているものもある。
■カギは信頼性向上
だが、フランス出身のバスールは、そうした報道に関してスイスの『Blick(ブリック)』紙に次のように語った。
「ジョークだよ」
「もし信頼性にうまく対応できれば、我々はそれで満足できるよ」
実際のところ、パワーユニットと呼ばれるエンジンのパフォーマンスを向上させるための開発はレギュレーションによって凍結されているため、フェラーリにできる修正は信頼性の向上を前提とするものだけだ。しかし、信頼性問題が解決されれば、故障を恐れることなく、エンジンの持つパワーを全て解き放つことも可能になりそうだ。
バスールは、テレビ局『Sky Italia(スカイ・イタリア)』にも次のように語っている。
「我々は新しいものを取り入れており、その全てがうまくコントロールできているようだ」
「以前はエンジンのパワーを落とさなければならなかったが、今は通常の状態に戻っている。しかし、パワーに関して進歩があったという話ではないよ」
■ほかのチームの新車発表は「フェイク」
一方、バスールは、これまでに発表されたほかのチームの2023年型マシンに関してはあまり真剣に目を向けたことはないという。
「私はほかのマシンを注意深く見てはいないよ。なぜなら、新車発表は“フェイク”であることが多いし、本当のマシンが見られるのはあとになるからね」
そう語った54歳のバスールは次のように付け加えた。
「だから、私は時間を無駄にしたくなかったんだ。私は自分たちのことだけに集中しているよ」
■フェルスタッペンに驚きを与えるとサインツ
最近、2021年と2022年のF1チャンピオンであるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が、2023年に自分たちにとって最大のライバルとなるのはフェラーリではなくメルセデスだろうと語ったことが報じられたが、そのことについて質問されたバスールは、「彼は我々については言及しなかったのか?」と答え、次のように続けた。
「それは私には全く関係ないことだよ」
「我々は自分たちの仕事に集中する必要があるし、それは大仕事なんだ」
フェルスタッペンとともに2015年にトロロッソ(現アルファタウリ)でF1デビューを飾り、その後ルノーとマクラーレンを経て2021年からフェラーリで戦っているスペイン出身ドライバーのサインツも、この話題に関して次のように語っている。
「マックスはメルセデスと戦うって言ったの? それはいいね。だったら僕たちは彼にうれしい驚きを与えるよ」
「それは間違いなく僕たちに対する彼なりのプレッシャーのかけ方だし、それは普通のことさ。最終的には、サーキットとストップウォッチだけが重要なんだ」
■1週間後にはバルセロナでプレシーズンテスト
バーレーンで開幕戦(3月5日決勝)を迎える2023年のF1だが、まずは来週の木曜日(23日)から土曜日(25日)にかけてバルセロナで開催される公式プレシーズンテストで各チームの2023年型マシンの最初の比較が行われることになる。
今年のフェラーリがレッドブルやメルセデスに対してどのようなパフォーマンスを見せるのか、まずはそこにメディアやファンの視線が注がれることになる。