初の中国人F1ドライバーとして今季アルファロメオからデビューを飾った周冠宇だが、現時点ではまだ2023年もグリッドに並ぶことができるかどうか確定していない。
周本人は、アルファロメオは自分に「とても満足している」と言っているものの、スイスに拠点を構えるザウバーが運営するF1チームは現時点ではまだ来季も周がバルテリ・ボッタスのチームメートとして残留することを発表する用意はないようだ。
■アルファロメオは僕に満足していると周
「F1で最初の年だから、チームは僕のパフォーマンスを分析しているところなんだ」
そう語った23歳の周は次のように続けた。
「でも、(チームからの)フィードバックは期待できるものだし、チームは僕のこれまでの仕事にとても満足しているよ」
「彼らと一緒に仕事ができるのはうれしいし、僕もとても楽しんでいるよ」
しかし、現在周がアルファロメオと結んでいる契約が2022年シーズンの1年だけであるのも事実だ。周としては少しでも早く来季も残留できるのかどうかをはっきりさせて欲しいところだろう。
■今はまだ待つしかない状況
アルファロメオから2023年の契約を結ぶという連絡は来たのかと尋ねられた周は次のように答えている。
「まだ何も届いていないんだ。だけど、いい知らせが来ることを期待しているよ」
一部のF1関係者は、イタリアの自動車会社であるアルファロメオをチーム名に持つザウバーは、先々週に今季のF1第16戦イタリアGPが開催されたモンツァにおいて2023年も周を走らせることを発表するだろうと予想していたようだ。
スペインの『El Mundo Deportivo(エル・ムンド・デポルティーボ)』紙から、それが実現しなかった理由を尋ねられた周は次のように答えた。
「まあ、まだ決まっていないからね」
「僕たちにはプランがあるし、フィードバックに基づいて契約を決めなければならないんだ。今は今後のことについて話しているし、すべてが有望に見える。だけど、待つしかないよ」
■目標はいつかF1タイトルを争うこと
現時点では2023年もF1で戦うことができるかどうかが確定していない周だが、いつの日にかF1タイトル争いをするという最終的な目標に向けて順調に進むことができていると主張している。
「それがこの仕事の目的だからね」
「最初の1年は、学ぶこと、そして自分の技術を向上させることが目的だった。だけど、いずれは表彰台を狙いたいし、単にポイントを取る以上のことを目指したいと思っているのは確かだよ」
そう語った上海出身の周は、次のように付け加えた。
「いつかはそういうポジションに行きたいと望んでいる、だけど現時点では、そのステップに進む前に、最初の数年間をしっかりとやり遂げるためにここにいるんだ」
■周の前に立ちはだかるのは19歳のテオ・プルシェール?
その周にとって、2023年のシート争いの最大のライバルだと考えられるのは、現在F2選手権で戦っている19歳のフランス人ドライバー、テオ・プルシェールだろう。
アルファロメオのチーム代表であり、ザウバーモータースポーツのマネジングディレクター兼CEOでもあるフランス出身のフレデリック・バスールはかねてよりプルシェールを高く評価しており、2022年のドライバー候補としても検討されていた。
当時は、プルシェールがまだ18歳という年齢だったこともあって最終的にアルファロメオは周の起用を決めていた。だが、2023年シーズンに向けては現時点で今季のF2ランキング2番手につけているプルシェールがアルファロメオにとって非常に魅力的な候補であることは否めないだろう。
F1ルーキーとしては高い評価を受けている周だが、このままF1キャリアを順調に歩み続けていくことができるかどうかについては、もう少し状況を静観する必要があるかもしれない。