アレックス・アルボンが、今年セルジオ・ペレスがレッドブル・ホンダF1マシンで苦戦しているのを見て、それが“慰め”になったことなどないと主張した。
来年はウィリアムズから2年ぶりにF1復帰を果たすことが決まったイギリス生まれのタイ人ドライバーであるアルボンだが、レッドブル・ホンダでマックス・フェルスタッペンのチームメートを務めていた昨年は期待されたパフォーマンスを示すことができず、今年は経験豊かなペレスにそのシートを譲っている。
しかし、メキシコ出身のペレスも、レッドブル・ホンダで迎えた2021年シーズン前半は苦戦を強いられており、期待されたフェルスタッペンのサポート役という仕事をうまくこなすことができていないのが現状だ。
そうした中、25歳のアルボンはフランスの『Auto Hebdo(オト・エブド)』に次のように語った。
「ペレスのコメントは、僕の昨年の見方と似ているね」
「だけど、彼が苦労しているからといってそれが僕の慰めになるとは全然思っていないよ。なぜなら、僕もチームのためにできる限りのことをしたいと思っているからね」
「F1選手権におけるレッドブルのパフォーマンスを高めるのが目標だよ」
実際のところ、アルボンは、ペレスに嫉妬するのではなく、それとは全く正反対の取り組み方をしてきたと主張している。
「僕は自分の経験やクルマに関する知識を共有することで彼を助けたいと思っているんだ」
「そうすれば、彼はできるだけ早く適応することができるからね」
「2020年に比べるとクルマは改善されている。それでもまだ悪戦苦闘しているよ」
そう語ったアルボンだが、もしも自分がレッドブル・ホンダ2021年型マシンのステアリングを握っていたら昨年よりはもっとうまくやれただろうと考えている。
「そう断言することはできないけれど、今年のクルマは昨年のものよりはよくなっているよ」
今年はレッドブルのリザーブドライバーを務める傍ら、シミュレーター作業でマシンの開発にも貢献しているアルボンはそう語ると次のように付け加えた。
「昨シーズンの反省を生かせたように感じているよ。これまでのシーズンを振り返ってみたし、自分の価値を示すチャンスがまた巡ってきたことを嬉しく思っているんだ」
実際のところ、アルボンにとってウィリアムズと契約を結ぶのは簡単なことではなかったはずだ。現在ウィリアムズにエンジンを供給しているメルセデスが、アルボンがレッドブルとの関係を維持していることに不満を抱いていたからだ。
最終的には、契約書に秘密保持条項を追加することでウィリアムズとアルボンの契約がまとまったのだと伝えられている。
そのことに関して質問されたアルボンは次のように答えている。
「あまり詳細なことまで言うつもりはないけれど、どうしても避けられないこともいくつかあるよ」
「素晴らしいのは、僕がF1に復帰するための解決策が見つかったことさ」
こうした中、世界的レーシングカー製造会社として知られるダラーラ社の設立者であるジャンパオロ・ダラーラは、フェルスタッペンのような本当に優れたドライバーと、例えばペレスやアルボンのようなそれ以外のドライバーたちとの間には大きな差があるのだと考えている。
「もしもフェルスタッペンがまだ現在のF1で最も優れたドライバーではないとしても、彼はそれに非常に近い2番目のドライバーだ」
母国イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』にそう語った84歳のダラーラは次のように付け加えている。
「ペレスが示しているのは、ドライバーが感銘を与えることができる時もあるが、そうではない時もあるということだ」