「F1カーに戻れてすごい興奮しているよ!」
2020年バーレーンGPでガードレールを突き破る恐ろしい大クラッシュを起こして炎上したF1カーから奇跡の生還を果たしたロマン・ロマン・グロージャン(当時ハース)が、メルセデスのチャンピオンカーで1日限りの特別なワンオフテストでF1カーに復帰することが正式に発表された。
グロージャンは手にひどい火傷を負っただけで逃げることができたのは奇跡的だったが、治療のため病院に入院している際、メルセデス代表のトト・ヴォルフは、グロージャンにとってF1の最後の章が事故の記憶ではないよう、メルセデスF1カーをドライブするチャンスを提供すると約束していた。
■フランスGPでデモラン後、特別なワンオフテスト
その約束通り、2021年F1フランスGPの2日後となる6月29日に、ポールリカールサーキットでルイス・ハミルトンがドライブした2019年のチャンピオンカーW10を丸一日ドライブすることが決まった。
また、フランスGP決勝日前にチャンピオンカーW10でデモンストレーションラップをすることも発表された。グロージャンは、2020年シーズンの残り2戦に出場できなかったため、F1カーのドライブはあの事故以来となる。
グロージャンはこれまで179レースに出場し、10回の表彰台を獲得している。
トト・ヴォルフは3月30日、ブラックリーにあるメルセデスF1のファクトリーにグロージャンを招待し、グロージャンのホームサーキットでの特別なテストのためにシートフィッティングを行い、シミュレーターもドライブした。
グロージャンがドライブするメルセデスAMGのW10は、2019シーズンに両ドライバーが15勝、10回のポールポジション、9回のファステストラップを記録した最強F1カーだ。ハミルトンがドライバーズチャンピオンに輝き、チームはコンストラクターズタイトルを獲得している。
■グロージャン「すごい興奮しているよ!」
グロージャンは「F1カーに戻れてすごい興奮しているよ!」と喜びを表し、次のように続けた。
「僕にとって特別な機会だし、F1世界選手権で優勝したメルセデスをドライブすることは特別な経験になるだろうね」
「この機会を与えてくれたメルセデスF1とトトに、とても感謝しているよ。メルセデスをドライブするチャンスを最初に聞いたのは、バーレーンの病院のベッドの上だった。トトがメディアに話していて、招待してくれたんだ。そのニュースを読んで僕はすごく元気づけられたよ!」
「2020年はCOVID-19のせいでF1フランスGPは開催できなかったから、2021年のフランスGPでメルセデスをドライブし、その後、ホームトラックであるポールリカールサーキットでテストができることはとても特別なことだよ。その日が来るのが待ちきれないよ」
■ハミルトン「本当にうれしいよ」
ルイス・ハミルトンはグロージャンの復帰を次のように喜んだ。
「昨年の事故以来、ロマンのF1カー復帰は本当にうれしいよ。事故が起こったとき、僕たちはみんな彼のために祈っていたけど、彼がクルマから脱出して、順調に回復しているのを見てすごく安堵したんだ」
「フランスGPの週末に彼と再会して、チームに迎えられるのを楽しみにしているけど、彼にとっては僕のW10をドライブするのが楽しみだろうね!」
グロージャンは今シーズン、アメリカへと戦いの場を移し、「デイルコインレーシング with RWR」でインディカーシリーズに参戦している。