ロシアの政治家が、物議を醸しているハースの新カラーリングを「常識が反ロシアのヒステリーに打ち勝った」と歓迎した。
ハースは2021年シーズンをフェラーリ所属ドライバーであるミック・シューマッハとロシアの大富豪であるドミトリー・マゼピンの息子ニキータ・マゼピンのドライバーコンビで戦うことになるが、ドミトリー・マゼピン率いるロシアのウラルカリ(Uralkali)社がハースの新タイトルスポンサーとなっている。
そして、4日(木)にはその2021年型F1マシンが発表されたが、そのマシンは白、青、赤を用いたカラーリングが施されている。この色の組み合わせはアメリカの国旗の構成色であり、アメリカの大リーグなどでもこれらの色を使ったマークが用いられているのはよく知られている。アメリカンチームのハースだけにアメリカをイメージしたカラーリングだと受け止めた者もいるかもしれない。
だが、今回このハースF1マシンのカラーリングが物議を醸すことになったのは、その色の組み合わせはロシア国旗にも当てはまるためだ。そして、ロシアの企業がタイトルスポンサーとなっている事実を考えれば、今回のカラーリングがロシア国旗を象徴するものだと考えるのは当然のことだろう。
実際のところ、ロシアが組織的ドーピングを行っていたと認定されたことから、世界ドーピング防止機構はあらゆる国際的スポーツにおいてロシア国旗の掲揚や国歌を流すことを禁じる決定を下している。だが、F1マシンにロシア国旗に似たカラーリングを施すことが禁じられているわけではない。
しかし、ドイツの『Bild(ビルト)』は次のように報じ、このカラーリングに対する嫌悪感を示している。
「ミックはプーチン(ロシア大統領)のために走ることになる」
こうした中、ロシア議会副議長を務めるドミトリー・スゥイシュチェフは地元ロシアの『Sport Express(スポルト・エクスプレス)』に次のように語った。
「禁止されていないのであれば許されることだ。自動車スポーツはスポンサー契約とマーケティング契約に依存しているわけだし、このシリーズの主催者もロシアでのレースが続くことに興味を示していると思う」
「常識が半ロシアのヒステリーに打ち勝ったのだ」
ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーも次のように主張している。
「我々は前進していくためにスポンサーにスペースを売る必要があるんだ」
「それは国家とは何の関係もないことだ」
こうした中、『Bild(ビルト)』はF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)のスポークスマンが次のように語ったと報じている。
「今回の(世界ドーピング防止機構の)決定はロシアの色を使うことを禁じてはいない」
今年ハースに加入することが決定していたマゼピンが女性に対していかがわしい行為を行ったところを撮影した動画が拡散されたことに関して雇用主にあたるハースに対しても大きな批判が寄せられる事態となっていた。そして、今回ロシア色のカラーリングが施されたマシンが発表されたことで、再びハースに対する風当たりが強くなってきているようだ。
こうした騒ぎの中でハースからF1デビューすることになる21歳のシューマッハはマシンのカラーリングについて次のように語っている。
「僕はチームカラーしか見ていないけど、もしこれがカラーなら、僕はそれでかまわないよ。たとえピンクだったとしても僕は走るだろうね。マシンが速くて、僕がうまく走ることができる限り、気にはしないよ」