レッドブルのドライバープログラム責任者として知られるヘルムート・マルコが、将来的にダニエル・リカルド(ルノー)が復帰する可能性を否定しなかった。
レッドブルの育成ドライバーとしてキャリアをステップアップしてきたリカルドだが、2018年シーズン限りでトップチームのひとつであるレッドブルと離別して2019年には中団グループに位置するルノーへ移籍している。
2009年のF1チャンピオンであるジェンソン・バトンはリカルドの母国であるオーストラリアのメディアに対して次のように語った。
「僕はダニエルに言ったんだ。ルノー移籍を決めた君の判断は理解できないとね」
「きっと彼もときどきそう思ったはずだよ。後退してしまったとき、ドライバーは常にそうするものなんだ」
そのリカルドはすでに2020年にはマクラーレンに移籍することが決まっている。
バトンは、マクラーレン移籍は31歳のリカルドにとってそのキャリアの成功を左右するものになるだろうと考えている。
「彼はまだ若い。だけど、レースでの勝利や、できればタイトル争いができるチームを目指し始めなくてはならない」
そう語ったバトンは、2021年にはルノーに替えてメルセデスエンジンを搭載することになるマクラーレンには期待することができそうだと次のように付け加えた。
「後ろにメルセデス(エンジン)を積んだマクラーレンはすごく戦闘力があるはずだよ」
バトンは、リカルドがレッドブルを去るという決断をしたのは、チームメートのマックス・フェルスタッペンと同等の扱いを受けることができておらず、チームが自分を必要としていると思えなくなったことが原因だったのだろうと考えている。
リカルドとマクラーレンは複数年契約を結んだものと考えられている。だが、その契約が満期を迎えたときにはリカルドがレッドブルに復帰する可能性もまだ消えたわけではないようだ。
2019年にリカルドの後任としてトロロッソから抜擢されてレッドブル・ホンダのドライバーとなったピエール・ガスリー(現アルファタウリ)だったが、なかなか成果が出せずシーズン途中でその年にトロロッソからF1デビューしたばかりのアレクサンダー・アルボンにシートを譲ることになった。
そのアルボンもレッドブル・ホンダで迎えた2年目のF1シーズンはここまで苦戦が続いており、ちまたではシート喪失の可能性もあるだろうとうわさされている。
ドイツの『motorsport-total.com』から、リカルドだったらアルボンよりももっとうまくやれていたと思うかと質問されたマルコは次のように答えた。
「証明できるものは何もないから何とも言えないよ」
「我々はアルボンを擁してコンストラクターズ選手権で2番手にいる。リカルドがいたとしてもそれは同じだろう」
そう語ったマルコだが、もし実際にフェルスタッペンのチームメートがアルボンではなくリカルドであったならば、もっと多くのポイントを稼ぐことができていたはずだと考えているのは間違いないようだ。
リカルドのことは現在のF1ドライバーの中でも「トップレベル」だと考えていると認めたマルコは、リカルドが在籍していた当時のことを振り返りながら次のように続けた。
「以前我々には同じレベルのドライバーが2人いた。それにリカルドがいたときはもっと楽しかったよ。だが、彼は自分の道を探していたし、そちらに進んでしまったんだ」
「我々は今でもいい友人だよ」
それでは、将来的にリカルドがレッドブルに復帰する可能性もあるかと尋ねられたマルコは次のように答えている。
「後戻りする道は常にあるものさ。だが、そのための環境が整っている必要はあるがね」