ルノーF1チームを率いるシリル・アビテブール(マネジングディレクター)が、ダニエル・リカルドを今季限りで失うことになったのは「残念だ」と認めた。
2018年までレッドブルに所属していたリカルドだが、昨年ルノーに移籍するも戦闘力に欠けるF1マシンに対してずっと不満を口にしていた。
そして、新型コロナウイルス問題により2020年F1シーズンが開幕できない状況が続いている中、実質的に1年間ルノーのF1マシンで戦っただけで2021年はマクラーレンへ移籍することを決断したことになる。
リカルド離脱に関して、アビテブールは『motorsport-total.com』に次のように語った。
「安定性がなければ何かを作り上げていくことはできないと思うから少しばかりがっかりしているよ」
「これはドライバーにも、それ以外の会社にもあてはまることだがね」
アビテブールはさらに、これほど早い段階で2021年に向けたドライバー移籍の動きが出たことには驚かされたと次のように続けた。
「2つのF1チームが積極的に動いたことには驚いたよ。それによってダニエルも早い決断を余儀なくされたんだ」
もちろん、アビテブールが言及した2つのチームとはフェラーリとマクラーレンのことだ。
フェラーリはセバスチャン・ベッテルとの契約を今季で打ち切ることを決め、来季に向けてカルロス・サインツ(現マクラーレン)と契約。そのサインツの後釜としてリカルドのマクラーレン加入が決まったという経緯がある。
ルノーに関しては、新型コロナウイルスによる経済的打撃によりF1から撤退する可能性もあると言われている。しかし、現時点ではベッテルやフェルナンド・アロンソ、さらにはメルセデスのバルテリ・ボッタスなどが2021年に向けた候補ドライバーだと考えられている。
だが、アビテブールはドライバーの決定よりもまずはいいF1マシンを製造することの方が重要だと主張している。
「もし我々が昨年よりよいクルマを手にしていたならば、多分そういう質問を受けることはなかっただろう」
「もし我々が今後よりよいクルマを造ることができれば、どのドライバーにとってもそれが魅力的なものになるはずだ」
そう語ったアビテブールは、もう一度リカルドに言及しながら次のように付け加えている。
「彼は自分の決断を行った。そして我々はこれからも続けていくだけだ」