19日(水)から今年最初のF1プレシーズンテストがバルセロナで行われているが、そこで目を引いていることのひとつはフェラーリのラップタイムがあまり伸びてこないことだろう。
だが、フェラーリのセバスチャン・ベッテルは、そのことは現時点では何の問題もないことだと主張している。
本来は初日にフェラーリの2020年型車「SF1000」のステアリングを握る予定だったベッテルだが、風邪による体調不良のためバルセロナ-カタルーニャ・サーキットに姿を見せたのは20日(木)のことだった。
その日73周を行い、6番手タイムを刻んだベッテルは、2019年型車の欠点であったダウンフォース不足は改善されているかと尋ねられると「イエス」と答え、次のように続けた。
「一見するとライバルたちの方が僕たちより速そうに見えるけれど、僕たちは今のところラップタイムは重要視していないんだ」
「それよりも、クルマに乗って何がよくなったか、何がそうではないかをという感触を得ることの方が大事だからね」
「コーナーでは前進を果たせているよ。クルマの全体的な感触はいいんだ」
「クルマの特性のいくつかは昨年のものと似ている。だけど、まだ始まったばかりだ。時間はまだあるし、特性に磨きをかけるためのセットアップを施す余裕もあるよ」
ベッテルはさらに、フェラーリは現時点においてはエンジンを“ローパワー・モード”に設定してテストを行っているのだと示唆するように次のように語っている。
「テストで持ち駒すべてをライバルたちに見せたりはしないものさ」
「僕たちがエンジンをパワーアップするのはメルボルン(開幕戦オーストラリアGP)に行ってからだよ」
それに関してはレッドブル・ホンダにとっても同じことが言えそうだ。
今年F1タイトル7連覇を目指すメルセデスにとって最大のライバルとなると考えられているレッドブル・ホンダもプレシーズンテスト1日目と2日目は4番手タイムと、こちらもまだそれほど目立つ速さを示してはいない。
だが、2日目のテストを担当したアレクサンダー・アルボンは20日のセッションを終えた後で次のように語った。
「マックス(フェルスタッペン)が言ったように、クルマはあらゆる面でさらに競争力が増したと感じられるよ」
また、レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは次のように語っている。
「何度もF1チャンピオンになっているだけに予想通りだが、メルセデスがここでは非常に強く見えるね」
「フェラーリのパフォーマンスを評価するのは難しいね。そしてレーシングポイントもよさそうだ。だが、全体的に見てどこがどういう位置にいるのかはまだ分からないよ」
「我々も今週はラップタイムにはそれほど注目していないからね」
今年のF1レギュレーションは昨年とほとんど変わっていないが、2021年にはこれまでとは大幅に変わる新ルールが導入されることになっている。そのため、どのチームも早めに2021年型マシンの開発にシフトしていくものと考えられている。
だが、メルセデスを率いるトト・ヴォルフ(チームCEO)は、マックス・フェルスタッペンにとって最年少F1チャンピオン記録を更新する最後のチャンスとなるだけに、レッドブルはどこよりも2020年シーズンに焦点を合わせてくるだろうと予想している。
しかし、これに関してホーナーは次のように主張している。
「エイドリアン(ニューウェイ/レッドブル最高技術責任者)の元で働く者の多くが、すでにRB17(2021年型車)に集中しているよ」