フィンランド出身の元F1ドライバーであるJ.J.レートは、フェラーリのナンバー1ドライバーがセバスチャン・ベッテルからシャルル・ルクレールに変わったのは明らかだと考えている。
1989年から1994年にかけてスクーデリア・イタリアやザウバーなどで活躍したレートだが、1994年にはベネトンでミハエル・シューマッハのチームメートとして走った経験を持っている。
現在53歳となったレートは、母国フィンランドの『Iltalehti(イルタレティ)』に対し、シューマッハを引き合いに出しながらベッテルについて次のように語った。
「彼(シューマッハ)はとてつもなくいいドライバーだったが、彼は自分の回りに的確な人材を集めることもできていた」
「多分、そこがベッテルの弱点じゃないかな。彼はフェラーリに自分のチームを作るための人材を連れてきたりはしなかったからね」
レートは、今季のF1第13戦ベルギーGPでフェラーリに今季初勝利をもたらしたルクレールが、続く第15戦イタリアGPでも連勝を飾ったことで、いまや明らかにベッテルを追い抜いてフェラーリのトップドライバーの位置を確保したのは間違いないと次のように続けた。
「フェラーリでは常に成功することが強く期待されている。そして、チームをそこに導くためのナンバー1ドライバーが存在するんだ」
「ルクレールが、フェラーリも勝てることを示してみせ、それによって自信と情熱が生み出されている。新たな保安官が町にやってきたわけだ」
こうした状況の中、2020年までフェラーリとの契約を結んでいるものの、ベッテルは今季限りでフェラーリを離脱する可能性があるとのうわさもささやかれ続けている。
だが、フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、イタリアGPの後で次のように主張した。
「以前にも言ったが、もう一度言っておこう。来年も我々のドライバーがセバスチャンとシャルルであることは確かだ」
だが、イタリアGPでは予選で申し合わせていたことをルクレールが守らなかったことにベッテルが不満を表すなど、両者の関係に少しずつ溝ができつつある様子も垣間見えてきている。
このままベッテルとルクレールが同じチームで走り続ければ、かつてのハミルトン対ロズベルグ、あるいはセナ対プロストのように、チーム内のバトルに発展していくリスクもありそうだ。
しかし、レートは、少なくともベッテルとルクレールがそういう形になることはないだろうと考えている。
「私はそうは思わないし、もちろんそうならないことを望んでいるよ」
そう語ったレートは次のように付け加えた。
「この2人は違うと思うし、そういうゲームに陥るような政治的な動きはしないと思っているよ」