F1最高責任者のチェイス・キャリーが、シルバーストン・サーキットで開催されるF1イギリスGPの将来はいまだに不透明な状況にあると認めた。
現在のF1世界選手権がスタートした1950年にその開幕戦の舞台となったのがイギリスのシルバーストン・サーキットだ。
現在シルバーストンでは2027年までF1開催契約を結んでいる。しかし、F1を開催すればするほど赤字が増えるという状況に陥っているシルバーストンは昨年、その契約に盛り込まれた解除条項を用いて2019年限りで現在のF1開催契約を解除することを決定。2020年以降に向けてより有利な内容で契約が結ばれない限り伝統あるシルバーストンでのF1レースが姿を消すかもしれないという事態に陥っている。
2017年にF1新オーナーとなったアメリカのリバティ・メディアによる指名を受けてF1のCEOを務めるキャリーは、現時点ではまだシルバーストンとの交渉は合意に至っていないと認め、次のように語った。
「現在進められている交渉内容に関して公表はしないと言ってきた。その方が健全だと考えている」
「我々もシルバーストンでのレースの価値は評価している。だが、我々にとっても意味のあるところに到達しなくてはならない。そしてそのための交渉が続けられているところだ」
リバティ・メディアは2020年にベトナムで新たなF1を開催することを発表したが、それ以外にもアメリカのマイアミやオランダでのF1開催実現に向けて取り組んでいることが知られている。
その一方で、リバティ・メディアはシルバーストンのような伝統あるサーキットでのF1レースも守っていきたいとしていた。
だが、キャリーはシルバーストンでのF1が継続されるかどうかは分からないと示唆している。
「常にほかの選択肢があるものだ。我々はほかにも様々な選択肢を開拓していることをはっきりさせておきたいと思う」
「我々は幸運な立場にある。開催できるレース数以上に、レースを開催したがっている場所があるんだ。そういう立場にあるのはいいことだよ」
そう語ったキャリーは、「ファンやレース、そして我々のビジネスにとって最善の決定」を行うことを目指し続けると付け加えた。
F1イギリスGPは1955年から1986年までエイントリーやブランズハッチとシルバーストンによって交互開催された時期もあったものの、1987年以降は一貫してシルバーストンで開催されてきている。