メルセデスの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは本気で来週末に行われる今季のF1最終戦アブダビGPで職場復帰を果たす決意をしているようだ。
7月に肺の移植手術を受けた69歳のラウダだが、現在はすでに退院しリハビリテーション段階に入っている。
最近、ラウダの友人のひとりである前F1最高責任者のバーニー・エクレストンが、ラウダがアブダビで復帰することを目指していることを明らかにしたが、F1関係者の中にはそれはまだ早すぎるとの考えを持っている者も多いようだ。
しかし、やはりラウダと親交がある同じオーストリア出身のヘルムート・マルコ(レッドブル/モータースポーツアドバイザー)は、今季のF1第20戦が行われた先週末のブラジルでスイスの『SonntagsBlick(ゾンタークスブリック)』に次のように語った。
「現時点では、ニキは助けを借りないと歩くことすらままならない状況なんだ」
「だが、我々は彼のことを知っている。彼が目標を設定したときは、彼は死に物狂いでそれを追い求めるんだ。1976年の事故のときのようにね。彼の身体は休息と辛抱を要求していた。だが、我々は何が起きたかを知っている」
1976年にニュルブルクリンクで行われたF1ドイツGP決勝でクラッシュしたラウダは、炎に包まれたクルマの中から救出されたものの大やけどを負い、一時は命も危ぶまれる状態だった。
しかし、ラウダはそのわずか40日後にはF1レースに復帰。見事にイタリアGPで4位入賞を果たしたという実績を持っている。
「あれはスポーツの歴史において最大級のカムバックだった。だから、私は今でもニキを信じているんだ」
微笑みを浮かべながらそう語ったマルコは次のように付け加えた。
「彼と話しをしたのだが、彼はアブダビで復帰する決意をしているよ。彼はすでに帯同させる医師の手配も済ませているんだ」